▼まさしさん:
レインボーカラーは金儲けの色?
先日、新宿に出たついでに久しぶりに二丁目に寄ってみたら、土曜日の午後だというのに、まるで過疎化した地方の都市の商店街のように閑散としていて、埃の溜まったポルノショップの看板のレインボーカラーが薄汚れてみえました。
レインボーカラーといえば、最近はゲイ向けポルノショップの看板やサインにこの色を使うことがお約束になっているみたいで、一目でゲイ専用の店であることが分かるので便利といえば便利です。
しかし、よくよく考えてみると、この組み合わせはおかしいんじゃないでしょうか。
レインボーカラーは元々、アメリカのゲイが使いはじめた同性愛者を含む性的少数者を象徴する色だそうで、虹が様々な色を含んでいるように社会も多様な性的指向を認めるべきだというメッセージが込められているのだそうです。
しかし、ポルノショップの売り上げに貢献するような、セックスを奨励するメッセージは込められていないのです。
あと日本の場合、ゲイリブ活動家を自称する人間にゲイバーのマスターや、ネットのゲイ向け出会い系サイトの運営者やゲイ雑誌編集者、ゲイビデオ製作者やゲイ向けポルノショップ経営者などいわゆる「業界関係者」が多いように思えますが、これもよく考えてみたらおかしなことじゃないでしょうか。
ウーマンリブの活動家がバーのマダムをやってたり、ノンケ向け出会い系サイトの運営者だったり、ノンケ向けエロビデオの製作者だったり、ノンケ向けエロ雑誌の編集者だったりしたらおかしいと思うでしょ。
なぜゲイリブ活動家を自称する人間にフーゾク関係者が多いかというと、基本的に日本の「ゲイリブ」が商業主義と結びついているせいでしょう。
この傾向は日本だけでなく、アジア全体に共通しているように思えます。
たとえばタイですが、先日、辞任したタクシン首相が5年前に首相の座についてから、ゲイバーやゲイサウナに対する警察の手入れが頻繁に行われるようになりました。
もし欧米諸国でこのようなことが起ったら当然、ゲイ団体が猛烈に抗議することになると思いますが、タイのゲイ団体が警察の手入れに抗議したという話は聞いたことがありません。
そもそもタイにゲイ団体なるものが存在するかどうかもあやしいのですが、不思議なことにゲイパレードだけは毎年、催されているのだそうです。
だれがゲイパレードを企画し、開催しているかというと、ゲイバーのオーナー連中だそうで、基本的には商店街が買物客を呼び込むために開催するなんとか祭りのパレードと同じ類のもので、政治的な意味はまったくないみたいです。
私はタイのゲイパレードは観たことはないので、たしかなことはいえないのですが、パレードの山車にはやはりレインボーフラッグなんかが掲げられているんじゃないでしょうか。
気分だけゲイリブというか、なんちゃってゲイリブというか、実体はただの金儲けでしかないのに、二丁目のポルノショップと同様、ゲイリブを詐称して、ゲイバーやゲイサウナに客を呼び込むためにレインボーカラーが使われているような気がします。
シンガポールについても同じことがいえます。シンガポールでは毎年、NATIONというアジアで最大のゲイナイトが開催されているそうですが、そのシンガポールでは同性愛は法律で禁止されているのだそうです。
しかし、そのような時代遅れの法律の撤廃を求めて、シンガポールのゲイが立ち上がったという話は聞いたことがありません。
それでもゲイナイトはちゃんと開かれていて、シンガポールのゲイが多数、参加して踊っているのだそうです。
私はこのNATIONにも参加したことがないので、たしかなことはいえないのですが、ここでもやはりシンボルカラーとしてレインボーカラーが使われているんじゃないでしょうか。
法律で同性愛を禁止しているシンガポール政府がゲイナイトの開催を認めているのはやはり商業的な理由からでしょう。華僑は金儲けには熱心ですからね。
NATIONにはシンガポールのゲイだけでなく、日本や香港、台湾、オーストラリアなどアジア各地から多数のゲイが参加するそうで、観光に力を入れているシンガポール政府としては、たとえゲイであっても大勢のツーリストがシンガポールを訪れて、金を落としてくれるのは歓迎すべきことなのでしょう。
そしてこのようなゲイナイトに参加しているアジア人のゲイも、その大半はなんちゃってゲイリブで、ゲイナイトで踊り狂いながら、また乱交に耽りながら、
「あたしって、アジアのゲイとしては最先端をイッテるんだわ〜!」
などと勘違いの自己満足に浸っているんじゃないでしょうか。
私はなにもアジアのゲイが政治に無関心であることを批判しているのではありません。
いつも言っているように、我々アジアの人間が無理にアメリカのゲイリブの真似をする必要はないし、ゲイサウナやゲイナイトなどゲイが楽しむ場所さえ提供されていれば、法律なんてどうでも良いというのは、アジアの人間に共通する実利的な考え方だと思いますし、それがアジアの文化であるならば、それはそれでかまわないと思っています。
実際、日本もタイもシンガポールも厳密な意味での法治国家ではありませんからね。
ただ、アジアのゲイ業界の関係者が、真の意味でのゲイリブ運動とはまったく関係がないにもかかわらず、金儲け目的でゲイリブを詐称し、レインボーカラーの旗の下にラッシュなどの興奮剤を発売し、真っ暗なダークゾーンの付いたゲイサウナをオープンしたり、ゲイナイトを主催することで、間接的に乱交を奨励し、結果的にHIV感染者を増やすことに貢献しているのだとしたら、やはりその罪は大きいんじゃないでしょうか。
こういう商業主義に乗せられて、サウナの暗闇で乱交を繰り返している連中は、アメリカでなぜサウナ文化が完全に廃れてしまったのか、その理由についてよく考えてみるべきでしょう