自分自身の最近味わった体験を話します。
いままで同性愛者であることを誰にも言わなかった僕は、頭で考えることしかできなくて、
私生活もほとんどできないし、すぐふてくされるし、親には甘えては怒ってじゃじゃうまをするような
人間でした。
GWもふてくされて家族旅行をパーにしました。
精神科に通院して投薬治療を受けていましたので、その日も母親に連れられて行こうとしてたら、
同居している祖母と祖父の仕事を手伝うことになり、昔の話をしてもらいました。僕が歴史で
ただ覚えていただけの首相を祖母と祖父はまじかで見ていて、感じていたことを話していたのを
とてもすごいと僕は思いました。そんな祖父と祖母が僕のことをすごく大切にしてもらっているということを会話の中で感じたら、何か自分から早く病院に行こうという思いが生まれました。
精神科医の先生に、いつもは母親同伴で診察してもらってましたが、自分一人で行きたくなり、
今まで自分のぐるぐるした考えしか言わなかったのに、その日は「最近どうですか?」と聞かれたら
「2,3日はいいのですが、GWはふてくされて家族旅行をパーにしました」と喋ったら、
先生がにやにや笑っているんです。なんだかやけにそれが嬉しくなってあれこれ喋ってたら、先生が
「何か前と全然違う感じがするんですが?何か吹っ切れましたか?」と聞かれました。
別に吹っ切れてはいないと思ったのでそう話しました。
「何か、自分は何でもできるぞと感じたりしますか?」と聞かれたので、
別にそんな大げさじゃなかったので、そこまでと答えました。
「最後に、何か聞きたいことありますか?」と聞かれたので、
今日言おう、言えるかもと思っていた言葉が出ました。
「生まれてまだ誰にも言ったことないんですが、自分は同性愛者で、今まですごく悩んでたんですけど、
最近は真剣に進んで行こうかなと思ってるんです。」
同性愛者だけしか言おうと思ってなかったので、真剣に進んで行こうかなぁなんて勝手に口から出た言葉
です。その時です。急に胸が開いたようになって、心臓から流れる血液がいつもと違う感じがして、
ドクドクと意識せずにはいられないくらい強く感じるんです。え?何これはと思いました。その後の
先生の話はよく覚えてません。もちろん家族にも私からは言いませんとか言っていた気がします。
その時言えば良かったんですが、結局その場を立ち去りました。
「自分は何でもできる気がする」
今この状態じゃないかと感じました。目は大きく見開いて、早く歩かずにはいられません。
別に、同性愛者を悪いとは思いませんとか言われたかったんじゃない。人に、僕は同性愛者ですと言った
ことが非常に嬉しかったんです。思い出すだけでも自然と笑みが溢れ、もうこの幸せどうしよう、しばらく独り占めしようか、誰かに話そうか、そんな気持ちではち切れそうでした。
それから数日立ちますが、時々暗くなると、心臓がキューって締め付けられ、テレビの画面を見ていた
焦点が、その画面に何となく映る自分の顔になりました。どうしよう、またあの暗い自分に戻ったら
どうしようと慌てましたが、先生と喋ったあの会話を思い出すと、また気分が明るくなりました。
今日は天気がとてもよかったので、飼い犬と散歩しました。犬に「こんにちは。僕は・・・です。同性愛者です。」と目で自己紹介。犬の目を見て「そうか、あなたは・・・ですか〜」と何となく会話。
歩いてる時も木々や野球少年に目で自己紹介しました。
気分はとてもいいです。