▼ストロングカタツムリさん:
> 幼稚園児でも知っている言葉の示すことをあなたは理解していないと申し上げたのですよ。
まさかとは思いましたが、本気でそう言っていたのですか。「あなたは皮肉をご存知ですか」とか、「あなたはそもそも皮肉をご存じないわけでしょう」という言葉は、一種のパラドックスですよね。なかなか興味深い言い方だと思います。
「あなたは○○をご存知ですか」「あなたはそもそも○○をご存知ないわけでしょう」という言い方は、相手が本当は○○という言葉やその意味を知っていることを前提として、なおかつ相手が○○という言葉を知らないから意図せずに○○を使っているのかもしれないという可能性を示唆して皮肉る表現です。もちろん、言葉は文脈によって意味を変えますが、中高生レベルの読解力があれば、あの文脈ならばこれは皮肉の表現であると理解できると思います。(例:信号を無視した人に向かって「あなたは信号というものをご存知ですか」と訊ねる場合など)
さて、本題はここからです。
「あなたは皮肉をご存知ですか」と、皮肉る。
「あなたはそもそも皮肉をご存じないわけでしょう」と、皮肉る。
これって、どこかおかしいと思いませんか? まるで、警察関係者ではない一般人が、スピード違反した車を自分もスピード違反して追いかけてからスピード違反を注意するようなものですよ? または、葬式で大声を出して騒いでいる子供に向かって、「大声を出すな」と大声を出して注意するようなものです。この例えでは分かりにくいかもしれないので補足しますが、結局、あなたはミイラ取りがミイラになってるんですよ。
こんなパラドックスめいた言い方をされたのは久しぶりだったので、何かの冗談なのかと思い、確認したのです。
>だってあなたは私のくだらない挑発に乗って、
>「自分は頭がいいのです。あんたには負けません。だからさっさと降参しろ」と仰るわけでしょう。
>またあなたは自分の知能指数の高さを自慢して私をひるませたいようだが、実は私も病院でそれを含めた様々な検査を受けたことがある。宜しければ結果をお知らせ致しましょうか。はっきり申し上げて、あなたこそ私に勝るとは思い難い。ただ「頭の良さ」だけを唯なる価値と思われるような方だから。
そんなふうに受け止められることも半ば予想していましたが、本当にその通りになってしまいましたね。あなたが、
> あなたに論理的な構築が苦手だと仰られるのは本当に不本意です。あなたはそもそも皮肉をご存じないわけでしょう。其の様な文章表現に於ける様々な技法に疎い方に私の文章を批評されたくない。
などということを仰ったので、その反証として、僕が「文章表現に於ける様々な技法」に疎くないということを比較的客観的に示すことができる証拠を述べただけですよ。証拠も示さずに「私は文章表現に於ける様々な技法に詳しい」などと言っても、誰も信用しないでしょうから(もちろん、あなたが「私は」を繰り返すのに辟易したので、僕も「僕は」を言って、その馬鹿らしさに気付いて欲しかったというのもありますが)。
ついでに言うと、センター試験を受験したときの国語の偏差値は65を超えていましたよ。こう書くと、あなたはまた「自分は頭がいいのです(略)」と僕が言いたがっているなどと言い出すかもしれませんが、そのような意図はありません。第一、そんなことを言ったって誰も納得しないでしょうし、このような数字はその人間の本質とは関係ありませんから。蛇足は避けたいのでこれで最後にしますが、本当に単に文章表現の技法に疎くはないですよ、と言いたかっただけです。
それと、結果を知らせたいのならば知らせてくれてもいいですよ。判断はあなたに任せます。
> 私は同性愛者を差別することが許せない。私には同性愛者や異性愛者やその他の性をカテゴライズすることに意味がない世界になって欲しいと思っている。だから「同性愛者はこう云う考えを持つべきだ」という、同性愛者に対する差別的な発言が許せない。
ここまでは、あなたの言いたいことが理解できますし、あなたに賛同します。しかし、
>差別されたこともない「同性愛者」が、「同性愛者」が差別されてきた歴史を盾に、自分も差別されているから(誰が誰に?)罪の意識を感じるべきだ、という論調に大いなる違和感を持つ。
という文章とどう繋がるのか分かりません。誰が誰に罪の意識を感じるべきだと言っているのかもよく分からないのですが、あなたの答えを待っていると時間がかかるので、あなたが大いなる違和感を持つという論調について説明しましょう。
現在♪というハンドルネームを使っている「私」は同性愛者です。言い方を変えると、「私」は同性愛者に含まれます。だから、同性愛者全体が差別されているのならば、「私」も差別されていることになります。
ということなのですが、おそらく、この言い方では分からないのでしょうね(分かったのでしたら失礼しました)。もしもお手元に高校の数学の教科書や参考書があるのならば、「集合と論理」という章を開いてください。蛇足になるかもしれませんが、一応簡単に説明します。
ある条件をみたすものの集まりを集合と言い、一般に集合Aというように大文字で表します。また、ある集合Aに属する一つ一つのものを要素といい、aが集合Aの要素であることを、a∈Aと書きます。
2つの集合A、Bにおいて、Aの要素がすべてBの要素であるとき、つまり、X∈AならばX∈Bのとき、AはBの部分集合であると言い、A⊂Bで表します。2つの集合A、Bの全ての要素が一致しているとき、AはBと等しいと言い、A=Bと表します。つまり、A=Bは、「A⊂BかつA⊃B」と同じことなのです。
また、2つの集合A、Bにおいて、A⊂Bであるが、A=Bではないとき、AはBの真部分集合である、と言います。
さらに、2つの集合A、Bの両方に属しているようその集合を、AとBの共通部分と言い、A∩Bと表します。そして、A、Bの少なくとも一方に属している要素の集合を和集合と言い、A∪Bと表します。
長くなりまりましたが、ここまでを前提として話を進めます。
まず、大事なのは、「私は同性愛者です」と言ったとき、「私=同性愛者」と言っているわけではない、ということです。「私」を要素として捉え、同性愛者を集合として捉えるのならば、「私∈同性愛者」ということになります。また、「私」を集合として捉えるのならば、私⊂同性愛者であり、「私」は同性愛者の真部分集合ということになります。
ですから、同性愛者という集合が差別されているのならば、同性愛者の真部分集合である「私」も差別されているということになります。
ストロングカタツムリさんの言っている論調または論法で考えると、この同性愛者という集合が差別されている、ということを証明することは困難です。なぜなら、同性愛者という集合の中には、「私」も含まれているしAさんにBさんにCさんにDさんにEさん…世界中にいる六億人前後の同性愛者一人一人が差別されていることを証明しなければならないからです。そしてストロングカタツムリさんが言いたいのは、「差別されていない人」∩同性愛者が、「差別されている人」∩同性愛者がいることを理由に、同性愛者=「差別されている人」だと主張することに大いなる疑問を持つ、ということなのですよね?
ストロングカタツムリさんの論法は、ある場合においては確かに有効です。しかし、この差別という問題に関しては、その論法を用いてはいけないのです。
なぜだか分かりますか? 例えば、黒人差別について考えてみてください。「黒人は差別されている」という命題があったとします。この命題が真であるか偽であるかを証明するとき、黒人という集合に含まれているFさんにGさんにHさんにJさん…世界中にいる黒人全員にアンケートをとる人はいないでしょう。
また、「Fさんは黒人であることで差別されているけれど、Gさんは黒人であることで差別されていない」というような表現を用いることは非常に稀だと思います。
例えば、Fさんが黒人であることを理由に、ある会社に雇ってもらえなかったとしたら、それは黒人差別だということになるでしょう。黒人であることを理由にその会社に雇ってもらえないことは、同じく黒人であるGさんやHさんやJさんにも起こりうるのです。この場合、その会社は黒人を差別している、ということになるでしょう。
つまり、「黒人はその会社に差別されている」ということになります。
これを、同性愛者の場合に置き換えて考えてみてください。同性愛者であるAさんが、同性愛者であることを理由にある会社に雇ってもらえなかったとします。同性愛者であることを理由にその会社に雇ってもらえないことは、同じく同性愛者である「私」やBさんやCさんやDさんにも起こりうるのです。この場合、その会社は同性愛者を差別している、ということになるでしょう。
つまり、「同性愛者はその会社に差別されている」ということになります。
以上が、あなたの論法の問題点であり、あなたの持つ大いなる違和感に対する回答です。