本文が長すぎて投稿できないという表示が出たので、二つに分けました。
1998年10月7日ワイオミング州ララミーで、大学生のマシュー・シェパードさん(22歳)が殺害された事件はどうでしょうか。マシュー・シェパードさんが、ゲイを装ったふたりのヘテロ男性に、バーから誘い出され、車の中で、ゲイであるというだけで暴行され、ピストルの台尻で頭がい骨を粉々に砕かれ、柵に縛りつけられたまま放置されて死んでいたところを発見された、という事件です。
2000年2月11日早朝には、「都立夢の島緑道公園」内で30歳代の青年男性が倒れているのが発見されました。頭部や顔面を鈍器のような物で殴られ、それによる外傷性ショックや内臓損傷で死亡したことが、司法解剖で明らかになりました。2月16日に中学生1人と高校生1人が、19日には25歳の男が強盗殺人容疑で逮捕されました。25歳の男は見張り役で、3人は他の4人と併せて7人で、メンバーを換えながら、公園内で数十件の暴行、強盗を行っていたことが明らかになりました。その別の4人も後日逮捕されました。実行犯の少年二人は強盗殺人罪で東京家庭裁判所の審判に付され、少年院に装置されました。25歳の男は強盗致死罪で起訴され、2000年11月には東京地裁で下された懲役12年の判決が確定しています。アカーのメンバーである風間さんは、この事件と報道に関する差別構造を明らかにしました。
夢の島公園は、夜から未明にかけて同性愛者が出会いを求めて集まる場所でした。7人の加害者らの検事調書からは、彼らの暴力が同性愛者を狙ったものであることが明らかになっています。彼等は暴行を加えて金品を奪うことを「ホモ狩り」と呼んでいました。「ホモから金を取る、という目的については、全くなかった、とまでは言いませんが、私の場合、ホモ狩りに行く目的のメインは、殴ったり蹴ったりすることにありました」と加害者の1人は述べています。ゲイを狙った理由については、「ホモは、人に隠れて男同士で愛し合う男たちで、僕たちが襲っても、金を奪っても、自分たちがやっていることが恥ずかしいので、すぐに警察にとどけを出さない」からだと別の加害者は供述しています。しかし現実には4件の被害届が警察に出されていました。被害を申告しないというのは、少年たちの思い込みだったのです。別の加害者は、「俺はここに来るホモ連中は人間のクズで変態野郎ですごくムカつく奴らと思っていましたし、ボコボコに相手をやっつけること自体にスリルやおもしろみも感じてましたので、この男をもっと徹底的にやっつけてやろうと思った」「ホモ連中は人間のクズでウザイ連中だ。そんな連中はどうなってもかまわない」と供述しています。暴力の動機が、彼らにとって「性的存在」でしかない相手への蔑みであり憎しみであることがここに示されています。また、こうした心情が、暴力や苛酷で残酷なものへとエスカレートしていく原因にもなっています。
事件を報道した新聞、週刊誌、テレビは、同性愛者を狙った犯行であることを報道していないか、または曖昧にぼかすか、仮に取り上げたとしても非常に興味本位の報道か、この三つの中のどれかでした。
25歳の男性の裁判の判決には、次のように明記されています。
『本件犯行は、平成12年1月ころから、同性愛者が集まると聞き及んだ公園等において、通りがかりの者に対し、暴行を加えて金品を強手するという被告人らによって敢行されたものである。被告人は、共犯の少年らが遊び半分でかかる犯行を行っていることを知り、少年らの行為を利用すれば容易に小遣い銭を入手できる上、同性愛者を襲えば被害申告されることもなく犯行が発覚しないものと考えて犯行に加担したものであり、他者の人格を全く無視した極めて自己本位で卑劣な犯行である』
差別は人を殺す。この事件は、そのことを事実を持って示しています。同性愛者を取り巻く環境がさほど変わらない以上、こうした犯罪は繰り返されます。
今年の7月にも、東京・江東区の夢の島公園で、同性愛の男性ばかりを狙い、強盗を繰り返していた少年グループが、警視庁城東署に27日に強盗傷害容疑で逮捕されました。逮捕された4人は、都立高3年、無職、それに私立高3年が2人の17〜18歳で、江東区の中学の同級生だった遊び仲間でした。
調べによると、高校生らは2006年7月8日21時頃、同区の夢の島総合運動場内の遊歩道で、板橋区のアルバイト男性(34)に『ホモだろ。金を出せ!』と因縁をつけ突き倒し、殴るけるの暴行を加え、現金2万1000円を奪うなどした疑いです。男性は全身打撲で全治40日の重傷を負っています。また、4人組は男性を襲った直後、約400mほど離れた同運動場内で千葉県浦安市のトラック運転手の男性(56)も襲い、約2週間の怪我を負わせました。
同性愛者を差別する人はいます。俺の周りにもいます。しかし、ストロングカタツムリさんの生活環境の中にはいない。あるいは、同性愛嫌悪者がいても、いないことにしている。ただそれだけなのではないでしょうか。
>一個人の経験をほどあてにならないということは覚えておいて損はありません。経験で判断することの重大な過ちに気づいてください。
ストロングカタツムリさんは、自分でそう言っていましたよね? あの言葉は、ただの建前だったのですか?
俺は、こんな「そこまで卑劣で過酷で惨たらしい社会」から同性愛者差別がなくなることを心から祈っています。そして、祈るだけでは何も変わらないから、差別をなくすための活動をしていきます。