数年前、僕がまだ大学生だった時の話。
都内近郊に住んでいた僕は、さほど詳しくもないのに、コーヒーが大好きでカフェに通うのが習慣でした。
大学2年になって、いつもの某カフェチェーンのお店に、カッコいい店員さんがいた。
そのお店は、家の近く。郊外の駅前にあって、店長さん?(一番エラそうな感じ 笑)とは結構、顔見知りになってた。
ある日の夜8時過ぎ。閉店が近くて、お店で飲むことがなんとなく迷惑だろうなって思った僕は、コーヒーとホットサンドみたいなのをテイクアウト(商品名は伏せます。チェーンがばれるので 笑)
その新入りの店員さん。結構、慌ててる。テイクアウト、慣れてないのかなー。そばには店長が立ってて、プレッシャーかけてる(笑)
なんとなく、僕はその子を応援したくなって、いつも店員から聞かれることをあえて先回りして、
僕「あ、全然急がなくて大丈夫ですよ。ミルクとか砂糖はなくていいです。紙袋にまとめて頂けると助かりまーす。」
新人「あ、わかりました!」
包んでもらってる間、僕は店長に、意味もなく、何かコーヒーのギフトとか取り扱ってますか?と話を振る。
会計を済ませ、紙袋を受け取り、
新人「お待たせしました!」
僕(いえいえ、いくらでも待ちますw)
店長が帰り際、「ごめんね、カズ(僕)くん何気にフォローしてたでしょ」と外の看板をしまいながら笑ってた。
でも、かっこいいなー。家に帰って、若干こぼれてるコーヒーを飲みながら、でも全然その時は下心はなかった。
かわいいっていうより、きりっとしてて背も高い。170後半はある。でもすらっとしていて、切れ長の目が印象的だった。
僕はそれから、彼がいるだろう夜の時間をめがけていくようになった。同じ組み合わせばっかだったから、レジ待ちのお客さんがいない時は、お店に入るなり「あ、こんにちはー」って向こうから声をかけてくれるようになった。普通にうれしかった。
秋になった。塾でバイトをした帰り、スーツ姿でそのカフェへ。
あれ、今日はあの子がいない。
店長「お、こんばんは。カズくん。今日も〇〇(ホットサンド)もつける?」
僕「あ、はい!お願いします。あれ、いつもの彼は?」
店長「実はね、サークルでケガしたらしくって。1、2週間、休むんだ。捻挫とかって言ってたけど。」
えーーー!!! 今日、来なきゃよかった(笑)
とは言えず。閉店近くでお客さんも奥のテーブルに数名だけだったから、店長にそれとなく聞いてみた。
僕「でも、ケガしちゃったら買い物とか大変ですよね。一人暮らしなんですか?」
店長「まぁね。オレも電話で聞いただけだけど、大丈夫とは言ってたけど。すぐ近くのマンションみたいだけど。」
なるほど。近いのか。今すぐ手伝いに行きます!とはいえるはずもなく。
でも店長には、
僕「たぶん同い年くらいですし、何か手伝えることがあったら、いつでも連絡くださいね。僕もすぐ近くなんで。」とだけ伝えて、塾の名刺の裏に携帯の番号をメモして渡した。まぁ、たぶん来ないだろうな。
あるいは、気持ちわりぃって思われるかも、なんてことも心配したけど、まぁそうなったらなったで仕方ない。
2日後。何もないまま、でもお店にも行きづらく。コンビニでコーヒーを買って帰宅。
まぁ、よく考えれば、お客さんに頼みづらいか。
なんて思ってたら、携帯が鳴った。知らない番号、だけど携帯ではない。ん?
僕「もしもし?」
?「あ、ごめん。カズくん? 〇〇〇の長谷川(仮名)です。」
店長かよ!と笑いそうになる。
僕「あ、どうも。」
店長「いや、実はカズくんからの申し出があったこと伝えて、最初は申し訳ないって断ってたんだけど、なんか骨にヒビが入ってたみたいで。」
店長がいうには、しばらくあまり動かないようにと医師から言われたらしい。そのうち、リハビリが始まれば松葉杖の練習もするから、無理のない範囲で手伝ってもらえたら…とのこと。マンションもうちのすぐそばだった。
店長「いやー、昨日もさぁ、お風呂に入れてあげたんだけど、やっぱりバイト先の上司って気を使うみたいでさぁ。」
はぁ!!?何勝手に入れてんだよ!と思いつつ。冷静に衝濁。
彼は僕より1つ下。20歳のナオトくん。
そうして、僕は彼のマンションへ暫く通うことになる。