もちろんデッキには誰もいない。
海の真上なんで、星がプラネタリウムのように美しかった。
欄干に手をかけてそれを見上げていると、キレイめ君はちょっとスペースを空けて隣に立った。
キレイめ君もつられたように星を見上げている。
「キレイですね」
オレはやっと話しかけてみた。星のことを言ったつもりだったけど、なんだか彼のキレイさのこともかけてるみたいだった。
「はい、こんなにはっきり見えるんですね」
キレイめ君も、なんか安心したように笑ってくれた。
それから少し話をした。
やっぱり彼らは大学生グループで、研究のプロジェクトのためにオレガ向かう地方の博物館に行くらしい。
キレイめ君は3年生で、歳は21歳。名前はヨシキ(仮名)と言うそうだ。
視界にある有名な星座が見えたんで、オレはとっさに指さした。
「あれ、○○座。めっちゃはっきり見える」
「え、どれですか」
「ほら、月の斜め下あたり」
ヨシキはもう俺のすぐ近くに寄っていた。彼が欄干からかなり身を乗り出そうとしたので、危ないと思って横から抱くように支える。
体と体が触れた瞬間、ヨシキの顔がハッとなるのがわかった。
ヨシキが態勢を戻しても、俺は手を離さない。手を腰にまわすと、ヨシキは自分から体を寄せてきた。細い腰を弄っても拒否しない。
「さっきお風呂にいましたよね」
ヨシキが言った。
「うん」
「かっこいいと思って、俺ガン見しちゃいました。すいません」
「いや、俺もすげえかわいい子がいると思って見てたんだよ」
「え、マジすか」
ヨシキは笑った顔を向けてきた。キスも拒まなかった。
「俺個室なんだよ。来る?」
ヨシキはうん、とうなづいた。
つづく