向こうも僕のことに気づき、二人の目が合いました。僕は勇気を出して、話しかけることにしました。「Hi.. How’s it going?」緊張して声が全然出ず、さらにちょっと震えで、向こうにはかなり挙動不審な人に見えたはずです。でもその美しい顔が、笑顔に変わり、「I’m alright」と返事を返してくれました。それから彼と会話がはずみ、彼はトマスというドイツ人で、東京で医学生として留学していること、渋谷ではよくモデルにスカウトされるけど興味がないこと、好きな音楽はDaft Punkなこと、ドイツ人なのにちょっとお酒に弱いこと等、いろいろ教えてくれました。そして10分くらい話すと、友達が待ってるからといってまた中に入っていってしまいました。
この時点で、あの美しい見た目と優しくてフレンドリーな中身に、僕は恋に落ちていました。でもまだゲイかもわからないし、友達としてもすごく良さそうな人なので、もうちょっと時間をかけたいなと思って、後についていくのはやめました。この時点で夜の1時前くらい、まだ時間はあります。僕は別のゲイの友達の恋の相談などをきいて時間を過ごしました。そしてしばらくすると、僕がいるフロアにまたトマスが入ってきました。トマスは何かを探しているようにフロアを見回し、僕がいるのを見つけると、あの美しい笑顔を送ってくれました。彼はそのときクラブにいた人の中で一番かっこいいと言えるほどの見た目で、周りの人も彼が歩くと振り返ったりしていました。そして、彼は僕の方に一直線に向かってきました。「あっちの奥の方に踊りに行こう」そう言われて、僕は彼についていきました。