(ダメ、モゾモゾしないで…キモチわるい…)
ぴっちりとした水泳パンツを無数の指に這い回られて腰をよじらせる男の子。
痴漢体験を投影したそんな妄想の中にさらに自分を投影するというややこしいことをはじめてしまった中1の私は、ブリーフとジャージを穿いたまま、激しく床に股間を擦り続けました。
妄想の中、キュッと締まったお尻の割れ目に沿って食い込んだ青い水着の上に手が殺到していました。
(あああっ、え、エッチ…!)
ピッタリフィットのナイロン越しに、お尻の割れ目からあそこの先まで丹念にまさぐられ、激しい性感が襲います。
揉まれつつかれ、爪を立ててかきむしられ…直であれば痛いばかりに違いない刺激にも水着越しのせいで感じてしまい、モジモジ腰を動かしてしまいます。
(やらしいっ、きもちわるいっ…のに…エッチぃ、エッチくなるっ)
我を忘れ、ただでさえ貧弱な語彙がさらに乏しくなっていきます。
(エッチぃっ…水着…パンツ…触られるとエッチぃ…っ)
やがて尿意に似た感覚が湧きあがってきて、それがもよおしたところを痴漢されているという設定とシンクロし、いよいよ私は乱れました。
(エッチ、ダメ、エッチエッチッ! 漏、漏っちゃうっ…あ、あっ、あああっ!?)
目がくらむほどの快感。そして――
ジュッ、ジュッ、ジュッ…!
(あ、あ、あ…)
本当におしっこを絞り出してしまったと思いました。
しばし放心の後、起き上がると、ブリーフを濡らしたものがジャージにまで浸み出て生地を濃く染めていました。
記憶の限り、これがはじめての射精です。
間接的ながら、私はあの日の痴漢に精通まで誘導されてしまったのでした。
それからしばらくして、中学で最初の水泳授業が告知されると、待ちに待った水着が自分の手に帰ってきました。
そればかりか、新しい水着――いっそういやらしくピッチリとした競泳パンツが、とうとう自分のものになりました。
親と一緒に行ったスポーツ店では勃起しないよう気を散らすのに必死だったことをよく覚えています。
煽情的な三角形の数々…
選んだ一枚は、やや光沢の強いブルーのパンツでした(学校の規定はブリーフ型かボックス型で、トランクス状のはダメ、色は帽子ともに指示なしだったと思います)。
気のないフリをしながら、一番そそるものを選びました。
親はボックス型のものを手にとっていましたが、それじゃ泳ぎにくい、そこそこ泳げるやつはそういうのを着ない、と撥ね付けて目当てのパンツを買ってもらいました。
ちなみに、翌年痴漢されることになる白のサポーターもこのとき購入しましたが、未開封のまま片づけてしまいました。
以前穿いたサポーターが綿のような素材感のゆるゆるなメッシュ生地だったため、これもそうと決めつけて魅力を感じなかったのです。
実際にはメッシュではない、光沢があってツルツルしている水着素材のインナーでした。
後にそれを広げた私は、まるで女性物のパンティのような艶やかな外見に衝撃を受け、たまらずその場で脚を通すことになります。
しかしそうして初めて身に着けたのは、実に二度目の痴漢体験当日のこと。
まるで痴漢に触らせるために買ったみたいで、それを考えると今でも悔しいような腹立たしいような、やりきれない気分になります。
なのに一方で、そのことをすごくエッチな、そそられるエピソードと感じてしまう自分もいて…
それがここにこんなことを書いている理由なのでしょう。