「ここで寝てるんですか?」と僕の部屋を見てケイタくんが言う。
僕は田舎暮らしだったせいもあり、和室じゃないとどうにも落ち着かない。このマンションを購入したのも和室が広いからだ。
和室にコタツを置いて、寝る時はその横に布団を敷いている。「ここの部屋はいろいろあるんですね」と無邪気なケイタくん。マンションは広いけど、実際他の部屋は使ってないから荷物もほぼ無い。
リビングもテーブルとイスとラックだけだから何もない。対してこの和室はテレビにゲームにPCに本棚にと…大学生の一人暮らしのような有様だ。
『ここでしか生活してないんだ』と僕は笑って答えた。
だから、、、もう言っちゃおう。
『だから、ケイタくん…もし行くとこが無いなら、しばらくあの部屋を使ってもいいよ』
ケイタくんが風呂に入っている間に考えていた。彼は明日ここから出てどこに行くんだろう?って。
そして、金を稼ぐためにサポを繰り返して…他の人のもしゃぶって、いや他の人とはSEXまでしてるんじゃないだろうか?そうやって生活していくんだろうか…。
僕はケイタくんにそんな事をして欲しくなかった。僕自身がケイタくんを買ってるくせに、こんな事を考えるなんて笑っちゃうけど。
でも、ケイタくんにはそんな事をして欲しくなかった。だから、生活が落ち着くまででいいから、ここに住まわせて自立できるようにしてあげたかった。
ケイタ君は少し考えてから「僕、お金ないんで…家賃も払えないし…」と俯いた。これは嫌だから遠回しに断ってるのか?僕は『さすがに知らない人の家じゃ怖い?』と聞いた。「そんな事ないです!居させてもらったら嬉しいけど…僕は何も無いので…」
『お金なんていらないし、何も必要ないよ。ケイタくんが一人で暮らせるようになるまで、ここで一度リセットしてくれたらいいから』
僕の思いが伝わったのか、ケイタ君は「本当にありがとうございます」と深々と頭を下げた。
次の日の朝。僕は今まで使った事がなかったホットサンドメーカーでホットサンドを作った。ケイタ君はとっても美味しいと言って食べてくれた。