そんな毎朝は変わること無く続いたが、会話が弾むことも無く、単語のやり取りだけが続いていた。
そんなある日、俺は昼だけの勤務となり、14時頃に店を出ることが出来た。
久々の早上がりなので、家に帰ってのんびりしようと早々にバスに乗る。
そうすると、いつもの高校生がいつもの席に座っていた。
「あれ、今帰り??」
と、つい話しかけてしまった。
高校生は、ビクッとしたあと、こっちを向いて、
「はい。。。」と、うつむいてしまった。
「けっこう早いんだね」
「。。。テスト中で。。。」
と、テスト中で早いようだった。
そんな会話らしい会話が出来て、ちょっと嬉しく思っていたが、乗客がどんどん乗ってきて、ほぼ満車に。
そうするといつものごとく、スッと鞄を膝の上に乗せる高校生君。
「ごめん、ありがとう」
「別に。。。」
と、いつもの会話。
そして、また鞄に顔を埋めて寝始めました。
帰りに会うのは初めて。
段々と乗客が減っていき、高校生君の後ろの席が空いた。立ってる人も少なくなっているので俺も座った。
鞄を返してもらおうかと思ったが、テスト中で睡眠時間を削っているのか、本当にグッスリと眠っている。
起こすのも悪いので、預けたままにした。
そして俺の下りるバス停まであと少し。
でも彼はグッスリと眠っている。
俺の鞄は彼の膝の上。
俺の頭の中には選択肢が2つ。
起こして荷物を返してもらうか。
このまま終点まで行って、鞄を返してもらって折り返して帰るか。
いつもの夜ならすぐに起こしただろうが、今日はまだ昼間。十分に時間もあるし、急いで帰る必要も無い。
となると、結局俺は終点まで行ってしまった。