あれから1か月後の事。
10月の半ばで少し暑い日に彼はやってきた。
土曜の夕方、いきなりピンポーンとインターホン。
カメラを見てみると蒼汰くんだった!
「はい何でしょうか?」とそっけなく対応すると
『〇HKの福士です…少しよろしいですか?』
とちょっと困った感じの反応だった。
「どうぞ」と言って解除して俺はすぐに引き出しから
アレを取り出して机の上に置いた。
玄関のインターホンが鳴り蒼汰くん到着。
要件は?と聞くとBSの確認をさせてください。
との事だった。上手い事考えてきたなと思ったが
こっちにも好都合。どうぞと家に招き入れた。
リビングまで行きTVをつけて確認(笑)
『TVのリモコンありますか?』と言って彼は部屋を見回す。
そして机の上にあったもので一瞬目が留まったのを俺は見逃さなかった。
「これ使った事ある?」俺は机の上に置いてたテンガを手に取り
蒼汰くんに見せた。しかも赤と黒の二種類(笑)
『あっ、と…いえ…』と蒼汰くんはうつむいた。
「俺ももらったんだけど、使わないからお兄さん使う?」
さりげなく、もはやさりげなくもないが聞いてみる。
蒼汰くんは沈黙。「一回使ってみたら?今少しだけ、今日だけ!内緒で!」
畳みかけるようにお願いすると、蒼汰くんは黙ってうなずいた。
前回の時からそうだが蒼汰くんは押しに弱いらしい。