「やっぱ先生だ! よく似てる人が歩いてくるなと思ったら」
「コータ? いま東京にいるの?」
「うん。大学で去年こっちに出てきた。すげー偶然っすね!」
そのときコータは他の友達と一緒だったので、そのときは連絡先だけ交換して、後日二人だけで会うことに。
そして土曜の夜に、個室の居酒屋で再会。
「先生全然変わってないなあ。社会人って雰囲気になってるけど」
「3年くらいじゃ変わんないよ。コータのほうはすっかり東京の大学生って感じになってるよな。イケメン度が増してる」
「いや全然w。まだ訛り隠すのに必死だし」
「ところで、もう先生じゃないから、名前で呼べよ」
「そう? じゃあリクさん!(僕の名字をもじった呼び方で、講師仲間からそう呼ばれていた)」
「懐かしい呼び方だな」
「そう呼んでみたかったんだよね、先生のこと」
コータは髪色が少し明るくなった以外変わらないように見えたけど、間近で見ると少年そのものだった顔に青年らしさが加わって、色気が増したようになっていた。
20歳だから一番遊ぶ時期だろうし、これは女がほっとかないよなーと思うと少し切なくなったけど、コータと近況を話したりして盛り上がっているうちに、気がつけば終電を逃してしまっていた。
「俺んち泊まればいいじゃん。あした仕事休みでしょ?」
そうコータに言われて、マンションに上がらせてもらうことに。
シャワーを借りたあと適当にテレビを見ていたら、次に浴室に入ったコータが、部屋着のハーフパンツだけ履いた姿で出てきた。
太陽がよく似合いそうな小麦色の肌に、スリムだけど筋肉で引き締まった体。
腰のあたりでキュッと細くなったウェストに、きれいに6つに割れた腹筋が浮き出ている。
(こんなエロい体してたんだな…)
見てるだけでドキドキしてしまうのに、コータはそのまま服を着なかったので、本当に目のやり場に困ってしまった。
「俺は床に寝ればいい?」
もう寝ようかというときになって、コータにそう聞いた。
「マットとかないしさ、一緒にベッドに寝ようよ」
「狭くない?」
「遠慮すんなって。それとも嫌?」
「…ううん」
少し広めのベッドだったけど、コータの体はどうやっても触れてしまうほど近い。
横になってしばらくしてから、眠ったと思ったコータがふいに口を開いた。
「飲んでたときに聞き忘れたことがあった」
「なに?」
「リクさん、いま彼女いる?」
「いないよ」
「フリー?」
「うん。コータは? ぜったい彼女いるだろ」
「俺、みんな遊びで終わっちゃうんだよね。本気で一緒にいたいとか、本気でセックスしたいとか、そういう相手はいないよ。女には」
「誰でもいいから本気になってみろよ」
「じゃあリクさんにしようかな」
「俺なんかに惚れられるならな」
コータはしばらく無言になって、また意を決したように言った。
「惚れたなら、いいの?」
気がつくと、コータが首を向けてまっすぐこっちを見ていた。
(長くてすいません! まだ続きます!)