ただ、射精の勝負では負けたとはいえ、黙って引き下がる訳にはいかず、
「二回目の勝負には負けたくせに天狗になるなよ」と何気なく口にすると
彼女は「二回目って?」と興味を持ったようでした。
木村はいらいらしたような顔になっていましたが、構わずに2回目のタイマンの
ことを話しました。
彼女は僕が木村に勝った結末を聞き、嬉しそうでした。
そんな彼女をみて、木村は「まぐれで勝ったのがそんなに嬉しいのか?」と
挑発的な口調で突っかかってきました。
「なんなら、もう一回やるか?」
僕のその言葉を待っていたかのように木村は
「望み通りやってやるよ。彼女の前で恥かかせてやるからさっさとかかってこいよ」と言い、こちらを睨みました。
僕は、今度こそ彼女の前で木村に屈辱を与えてやろうと思い、挑戦を受けることにしました。
木村はすでにヤル気満々で、彼女を部屋の角のソファーにいかせるとこちらに向き合いました。
そして木村が「こいよ」と言ったのを合図にお互いに掴みかかりました。
服を着ていませんので掴むところもなく、髪や肩を掴みんで相手を倒そうと動きますが効果はありませんでした。
いつの間にか相撲のように相手のお尻を両手で掴むような体勢になっていて、
相手を持ち上げようと引き付けるタイミングが重なってしまい、お互いの下半身が勢いよくぶつかってしまいました。
「痛てぇな!」木村は怒った口調で、今度は意図して下半身をぶつけてきました。
こちらもお返しに同じように仕返しします。
男性のシンボル同士をぶつけ合い、押し付け合う闘いが暫く続きました。
その時にはもう彼女が見ていることなど忘れ、ただ“雄”として相手を屈服させたい、そう思い意地を張り合いました。
こちらが攻撃すると自分も痛いのですが、目の前の木村の顔が歪み、
それだけで優越感を感じ、満足感を味わえました。
逆に木村から受けた際は相手の痛そうな顔のなかにふてぶてしい笑いが含まれているようで劣等感を感じ、それがまた闘争心に火を付けるようでした。
自分の象徴であり最も痛みに弱いであろう部位同士での闘いで木村に勝ち、
心を折ってやりたい、そう思いました。