今年の夏の思い出。
夕方、田舎の農道を車で通過したら前にロードバイクを押して歩いている少年らしき人がいた。
メットをかぶっているので顔は良くわからなかったが身長は180くらいある細身の感じだ。
暫く車を進めたが気になって引き返すことに。
こんな農道にロードバイク?しかもバイクを押している?
戻ると直ぐに彼はいた。
車を泊めて声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「あ、自転車がパンクしたみたいで押してるんです。」
「それは大変ですね。自転車屋まで送りましょうか?」
彼は、ヘルメットを脱ぎ、
「ありがとうございます。自転車屋は遠いですか?」
短髪で髪の毛はぺちゃんこだったが日に焼けた色黒で話した時の歯の白さが引き立つイケメンだった。顔は、ジャニーズ系でKING and princeにいそうな感じ。
「結構、距離あるかな」と答えると
「送って貰えると助かりますが本当にいいんですか?」
「はい、もちろん。困っている時は、お互いさまなんで…」
「ありがとうございます。じゃお願いします」
何とか自転車を荷台に載せて自転車屋へ向かう。
「俺、●●ゆうたっていいます。●●大学の2回生で自転車で日本横断してるんです。」
「俺は●●駿平。30歳の会社員でいま仕事帰りなんだ。宜しくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。さっき通り過ぎて、わざわざ戻ってきてくれましたよね。」
「何か気になって…」
「本当ありがとうございます」
「ここだよ。自転車屋さん。」
「あ、ありがとうございます。」
自転車を下ろして自転車屋の中へ。
「すいません、パンクしたみたいなのですが
みてもらえませんか?」
個人で自転車屋を営んでる店で中からご主人らしき人が出てきた。
「パンク?あ、うちは普通の自転車しか直せないよ。こんな特殊なロードバイクは無理だね。」
しっかりロードバイクを触りもせずにそう態度に俺はむかっときた。
「見もせずに何ですか、その態度は?困ってるですけど…」
「だから、いっただろ、取り扱ってないって。専門店に行けば…」
俺はまた文句を言うとするとゆうたが
「あ、わかりました。駿平さん、ありがとうございます。大丈夫ですから」と店を出た。
「え、じゃ専門店に行こう、初めからそこ行けば良かったな」と言うと
ゆうたはスマホを取り出して何かを調べて俺に見せた。
「今日は水曜日で休みみたいですね。だから今日はもう駄目みたいですね。本当に親切にしてもらってありがとうございました。明日、そこに行きますので…」
「え、今日はどうするの?何処で泊まるの?」
「適当にホテル探すか寝袋あるので野宿しますよ。いつもの事なので」
俺は実家暮らしだし、自宅に泊めることは出来ないし…と迷いながら
「じゃホテルに送ろうか?」と言った。
「何から何まですいません。甘えていいですか?時間大丈夫ですか?」と気遣いが出来る少年だ。
「本当は泊めてあげたいけど実家なもんで」と言うと
「そこまでは悪いですよ、本当にお気遣いなく」。本当にしっかりしている。
「じゃホテルだけど休めのビジネスホテルがいいよね。明日専門店行くならその近くがいいよね。」
スマホで調べると3980円のビジネスホテルがヒット。そこへ向かう。
「日本横断か、凄いね、どこからいつ出発してきたの?」と俺は車の中でゆうたに質問攻めをした。
15分くらいで目的のビジネスホテルに到着。
「ありがとうございました。駿平さんに出会えて良かったです。良かったらLINE交換しませんか?是非友達になりたいです」
「あ、LINE?いいよ。じゃ、日本横断頑張ってな」とLINEを交換する。
自転車を下ろして
車を走らせると
俺が見えなくなるまで手を振っている。
本当に見た目だけじゃなく中身が出来てるな
と感心すると同時にもっと話しがしたいと思った。
暫く車を走らせてLINEをした。
「ゆうた、ホテル入れた?今日はゆっくり休んでくださいね。」
するとすぐに
「ホテルは満室らしく、今日はやっぱり野宿します。」と。
「え、野宿?なら今から迎えに行くよ。さっきのホテル前で待ってて」
とLINEを送りホテル前に行くがいない。
LINEをみると通知が。
「本当に大丈夫ですから。ありがとうございます。これ以上迷惑かけたくないので」と。
そっかと帰ろうとした時に
ロードバイクを引きながらゆうたが車前に。
「ゆうた君?」
「駿平さん、既読ならないからホテル向かったんだと思って…」
「うん、来ちゃったよ、何かゆうたともっと話ししたいし、日本横断のこととか聞いたいなと…飯一緒にどう?」
「はい、是非。」
「ゆうた君は何歳?」
「先月20歳になったばかりです。」
「20歳か、ならお酒も飲めるね。」
「一応、法律的には可能ですが、俺まだお酒をそんなに飲んだことないですね、すぐ顔が赤くなるしお酒、弱いと思います。」
「俺さ、ゆうた君と酒飲みながら話しがしたいんだ。」
「いいですよ、ただ本当にそんな強くないから。寝ちゃうかも」
「でさ、お酒飲んだあと、野宿もあれだし
ホテルで一緒にどうかなって」
「え、でもホテル満室でしたし、他のホテルは値段的に高いし…」
「ラブホって知ってる?この近くにあるんだけど色々買って行ってそこで飲まない?」
「え、ラブホって、ラブホ?あそこって男女で入る場所で男同士では入れないんじゃないですか?以前友達と男二人で自転車で行った先で断られたことあったので…」
「いまから行くラブホは車で行ってそのまま部屋へ行くタイプだから男子同士は大丈夫なんだ。ただ抵抗があるなら別だけど。金額も安いし」
「別に抵抗はないんですけど、駿平さんは明日仕事なんでは?」
「あ、明日は仕事は休みだから、俺のことは気にしないで」
「あ、そうなんですか、なら」
二人でスーパーで買い物をしてラブホへ。