少し落ち着きを取り戻した俺は、
「えぇっ、な、なんで知ってるんだよ?」当然、聞いた。
すると首から下げているネームプレートを指しながら
『あっ、これね、、』って、
サラッと言って悪戯っぽく白い歯を見せた。
それを聞いた時ホットしたが、ちょっとイラっともした。
すかさず『あっ、俺は斎藤○○ね。』そう言って自ら名札を指した。
なんだよ○○ね、って。(です。)を付けろ。
先制パンチ食らわせやがって!
嫌な奴だ。
俺だって、、
知ってるよ。ネームプレート見たからって言ってやりたいよ。
な、なんだ、こいつ、俺のこと、からかってんのか?
でも嫌な奴だと思いながらも、どこか憎めないし面白い奴だと思った。
ただ初対面なんだから、俺が(よろしく)って言ったんだから
(コッチこそよろしく、)とか、普通は言うだろう?
でも何事もなかったように、
『へぇー、岡田くんも中華好きなんだ?』
違う、違う、俺は肉のほうが良かったけど、誰かに合わせたんだよ。
そう言いたいよ。(←強がりm(__)m)
呆気にとられながらも、斎藤くんのお皿を見て
「ぅ、うん、海老チリ好きなんだけど。」
『おぅ、好み一緒じゃん。海老チリって美味いよね?』
「あっ、でもローストビーフも大好きなんだけど。」
そう言いながら反応をみる。
『ロ−ストビーフ?俺もめっちゃ好きだよ。』
な、なんだよ、だったら最初から肉コーナーへ行けよ。
俺から仕掛けたのに完全に斎藤くんのペースだ。
うぅ、かなり手強い奴だ。すっかり押され気味だ。
そう思いながらも、どうしてもチラっと股間に目がいってしまう。
チノパンのモッコリ感も良い感じだ。
ドッキリさせやがって、しかもちょっと上目線で、
その上ちょっとイラっとさせやがって、そして困らせやがって。
でも超タイプだから、こっちこそよろしく。(←心の呟き)
バスでの移動も、もちろん横並びで座った。
「どこ住?」と、聞いたとき、
同じ路線だって分かった時は、こんなことあるんだ、そう思った。
俺は気になっていた(バイク)のことを、さりげなく聴いた。
『えっドリフト?やっぱそんな風に見える?』
「うん、見える、見えちゃう。」と、ふざけて言い返した。
斎藤くんは、
『あっ、それってさっきの仕返し?(初対面の挨拶)』
「あ、いやいや、そういう訳じゃない、ただ・・・」
『ただ、ってなんだよ。』
「悪い悪い、気に障ったらゴメン。」
斎藤くんは、アハハと笑いながら、
『それってガキがやりそう。
俺は表彰されても良いくらい超優良ドライバー、この顔見て分かんない?ホラッ、』
そう言いながら、俺の方に笑顔を近づけた。
ちょ、ちょっと待ってくれ、
そんなに急に顔を近づけるのは違反だよ。
はぁ〜、その笑顔がたまんねー、ドキドキもんだよ。
俺が免停にしちゃうよ?
「え〜、なんだよ!」
そう言いながら、斎藤くんの肩に自分の肩をぶっつけた。
『ァ、イテテ、暴力は止めてください。』だってさ。
お互いに顔を見合わせて笑ってしまった。
一人で(時々趣味の仲間)バイクを走らせて、海へ行くことが好きだとか?
なんだよ、こうして話してみるとイメージと違い凄く良い奴じゃん。
モテ顔してるし、ワルっぽく見えても爽やかな笑顔がたまんない。
でも、急いては事を仕損じるだ。
心にブレーキをかけなきゃ、そう思いながらも、
【もっとよく知りたい。】俺の心はザワツキっぱなしだ。
寝たふりして肩にもたれかかろうかな?
宿泊先では『岡田くん、いるー? 一緒に風呂入ろーぜ。』って、
浴衣に着替えた斎藤くんが声をかけてくれた。
はぁ〜初日から目の前でタイプの裸が見られんの?
マジ?絶対嘘でしょ?
同部屋の奴らと一緒に、わいわいハシャギながら風呂へ向かった。
斎藤くんは身体もデカいから、
チンコもでかいのかな?
剥けチンかな?
想像は頂点に達し半端ないドキドキ感を覚える。
初日だし俺はなるべく冷静を装い、でも股間を注視した。
浴衣を勢いよく脱ぐと、TOTOのボクサーだった。
ゲイに人気のブランドだし、モッコリも強調されかなりエロい。
もしかしてなんて、勝手に想像してしまう。
斎藤くんはなんの躊躇いもなく、パンツを脱いで裸になった。
後ろ姿だったが、僧帽筋がくっきりでて贅肉のない筋肉質な体だ。
ただ他の奴らも着替えていたので、一番期待していた場面の時に、
な、ん、で、後ろ姿しか見えないんだよ。
ついてないな。はぁ〜〜(-_-;)
最後の期待を込めて他の同僚たちと一緒に露天風呂へ向かった。
運よく斎藤くんの隣になり、頭にタオルを載せ(笑)足を延ばしてホッとする。
斎藤くんも同じ格好をし、隠す素振りも見せず話しかけてくる。
俺も話を振りながら気づかれないように、股間をチラっと見てしまう。
お湯がユラユラ揺れハッキリと分からなかったが、なんかデカそうな気がした。
ただ他の同僚たちも話しかけてくるので、それ以上は踏み止まった。
夜はカラオケ大会があり、皆なそれぞれマイクを握り熱唱が続いた。
斎藤くんは(真夏の果実 )を。熱唱してる顔もカッコいい。
『ふぅ〜、ちょっと緊張しちゃった。』と、照れる顔が一層可愛い・笑
俺は大好きな(君と見る未来。)を唄った。
♪君が好きです。今日も好きです。未来(あす)も好きです。♪
思い切って斎藤くんの方をみて唄った。
いい気分になった俺は宴席を一旦抜け出してロビーで休んでいた。
すると斎藤くんがきた。
『岡田くん、ここにいたの?探したよ。
酔っぱらったのか?気分悪いのか?水持ってこようか?』と、
心配顔で俺の顔を覗き込む。
なんで、そんなに優しい言葉ををかけんだよ。
酔払った振りして抱きついてしまってもいい?斎藤くん。
10数時間前までは、こんな出会いがあるなんて想像もできなかった。
でも初日としては上々の滑り出しだ。