斎藤くんとは一緒の時間を過ごすことが多くなった。
側にいるのが当たり前のように感じ、急速に親密度は増していった。
いつの間にか斎藤くんは、俺の部屋へ泊る日が増えた。
一緒に過ごす時間が凄く楽しくて嬉しかった。
毎日が充実していた。
退社時間が一緒の時は時々駅前の居酒屋へ寄ったり、ジムも一緒に会員なった。
飲んだ帰り道、仕事のヤリ方で、熱くなりすぎて、
一度だけ深夜の公園で殴り合いの喧嘩をし、通報された苦い思い出もある。
でも不思議なことに険悪な状態にはならなかった。
家では風呂に入る時、俺の前で平気でパンイチになる。
斎藤くんの部屋へ行った時、俺の前でやったことも決して不思議ではなかった。
結構、楽しめたが一応
「なぁ〜風呂で脱げば?」と、心にもない事を言う。
『誰も見てないよ、だからセ〜〜フ。』と、オーバーに両手を横に広げる。
「じゃー襲ってしまってかも?」と言うと、
『あっ、それはヤバイ』と、両手で前を押さえ、お道化た仕草を見せ笑いころげた。
俺は2人分の洗濯を、脱いである斎藤君のパンツをみると染みがついてる・笑
ちょっとエロい気分になって、洗濯機を回す。
でも食事は作ってくれる(調理のバイト経験)ので(時々俺も作る)が、
俺の方が助かってるかも?
今日は宅飲みの予定だ。
ちょっとだけコンビニでも買いつつ、
メインは豚バラ肉と野菜を使ったスタミナ焼き、ら・し・い・?
肉だけは斎藤くんがカットしてくれる。
あとは斎藤くんの指示通り、野菜やその他の材料を切る。
「ニンニクはチューブじゃダメ?」
『ダ〜メ。』
「わ、かった、。」
ザクザク、包丁の音も良いリズムだ。
「シェフ、こんな切り方で如何ですか?」と、一応聞く。
『OK・OK、、なぁゴマ油これだけ?』
「えっ、新しいのなかったっけ?」
『うん、ない、オリーブオイルでいい?』
「任せま〜す。」
良い香りが漂ってくる。
「シェフ、味見していい?」
『500円な。』
「えー、ちょっと高くねぇ?ボッタクリは止めて下さい。」
ハフハフハフ・・・斎藤くんに親指と人差し指で○のサイン。
さぁ、できたぞ〜
テーブルに並べる。全部美味そうだ。
レンチンした唐揚げも、ポテトフライも、乾きものだって。
でも2人で作った料理がいちばんだ。
さぁ飲むぞ〜、食べるぞ〜
プシュ〜(缶ビールをあける音)
かんぱ〜い♪
グビ、グビ。。。クゥーー腸に染みる。。。
モグモグ、モグモグ・・・。
例によって2人はくだらない話で盛り上がります。笑
「やっぱ、これ(バラ肉)、めっちゃ美味い。」
『だろう?』と、斎藤くんは得意気だ。
「あっ、でもそれは俺の切り方も良かったからだと思う。」
『あ〜ぁ、そんなことよく平気で言えるな?
料理したのは俺だぞ、美味いのは俺の作り方が上手だから、だろ?
そっちは切っただけ、そうだよな?』
「あっハイ、ハイ、その通りです。」
『なんだか言い方が軽い、心がこもってないな?』
そう言うと、後ろから覆い被さり、俺の顔を間近に覗きこみ
『今度そんなこと言ったら、絞め殺すぞ○○さん。』そう言ってニヤっとする。
あぁ〜、またでたよ、
(絞め殺す)って言葉、何回聴いたことか?本当だったら何回も殺されてる!
でしょ?斎藤くん。
「あっ、なにすんだよ〜、ビールこぼれちゃう。」
酔いも手伝い、いい雰囲気になってきた。
チャンネルをまわしながら、身体を預けてそのままの状態を楽しんだ。
アイドルたちがなんかのゲームをしている。
『あっ、あの子、可愛いくね?』
「えっ?趣味悪いな、全然可愛くねぇ」と、やり返す俺。
何度か、チャンネルを切り替えると、
う、あれ??男同士が抱き合ってるカットが画面に大写しになってる。
斎藤くんを下からチラ見すると、画面を凝視してる。
俺はこのドラマを見たことがあるので、
(おっさんずラブ)だという事は直ぐに分かった。
「この頃こんな感じのドラマ多いよね、流行ってんのかな?」
嘘を言ながら、、、
両肩にかかってる片一方の手を軽く握って、上目づかいで反応をみた。
特段嫌がってる様子も見せず、時々笑いながら見てる。
ラッキー、そう思いながら思い切って両方の手を握った途端、
パチンと頭を叩かれてしまった。
斎藤くんとはギャップを感じる時もあるが、なによりも居心地がいい。
初めて見た時は確実に外見で好きになってしまった。
でも第一印象だけで全てが分かることはない。
一緒にいて楽しいし、たまに見せるワルっぽい顔もいい感じだ。
なによりも、もっと長い時間を過ごしたい。そう思うようになっていた。
俺は斎藤くんの放つ雰囲気や、言葉や、態度に、確実に惹かれていた。
でも、もっと違う何かを求めてる別の自分が顔をだす。
【満足だけど満足じゃない!】そんな日々が続く。
でも、俺は知っていた。
時々バイクを飛ばして気分転換(多分、俺との事で)を図っていることを。
その事について俺はなにも聞かなかった。
少年のような心を持ったキャラにも見えるが、反面思いやりを持った人だ。
だが、こうしたなんでもないような2人の生活に変化が訪れようとしていた。
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両親が上京した際には、4人で食事なんかもした。
斎藤くんはこの頃俺の名前を呼ぶ時、何故か下の名前を言う時がある。
彼の中で何かが起きてるんだろうか?気になった。