すいません、エロは皆無です。
あれから何日か経ったけど、Tからのお誘いはなくセクハラ攻撃も鳴りを潜めていた。
でも以前よりもTからの視線に気付けるようになったのは、俺自身Tの事を気にしてるからなのかもしれない。
それにしたって見過ぎだよTくん…
俺はというと昼休みに出掛けたりする事が減った分、友達と過ごす時間も増えてKくんとの関係も至って良好…のはずだった。
なんというかKくんの様子がおかしい。
なんだかちょっと不機嫌。
でもこれは別に珍しい事じゃない。
性格は良くて優しくて面白いし言う事なしだけど、すぐにいじけるし怒っちゃう。
以前2人で俺の地元の夏祭りに行った時はもう酷かった。
俺の地元だけあって小学校や中学校の顔見知りと会うわ会うわで、結局花火を見る時は周りに人がたくさんいた。
Kくんは人見知りなとこあるから仕方ないんだけど、まぁぷりぷり怒ってた…
はっきりとは言わないけど、歩くの速くなったり不機嫌な表情がダダ漏れだったり。
でも俺はKくんといれるのが嬉しいからなんとか機嫌を直してもらえるように頑張ってる。
まぁKくんのぷりぷりはさほど長くは続かないから割と平気。
でも今は祭りの時とはわけが違う。
今Kくんやその他の友達とわだかまりを作るわけにはいかないんだ。
夢の行事"修学旅行"が目の前に迫ってるのだ!
友達と仲違いして修学旅行を1人で過ごすなんて事になったらもう死ぬしかない!
修学旅行が近づくにつれて学年中が浮き足立ってきてるのがわかった。
そわそわしだして話題はそればっかり。
俺はただただ穏便に過ごして人並みに楽しみたいだけだ。
うちの学校は基本的に3箇所の候補地が挙げられて、生徒にアンケートを取って行き先が決まるシステム。
他所もこれが普通かな?
その年の候補地は大まかに言うと、海外・関東・関西。
で、なぜか関西が大人気で満場一致で関西に決定。
子供ながらに見所が豊富と感じた。
そして今日、旅行前に1番大事なんじゃないかと思われるHRが午後行われるのだが、先生にはあらかじめ話し合っておくようにと言われていた。
バスや飛行機の席とホテルの部屋割りだ。
スムーズに決められなきゃ五十音順で振り分けるなんて恐ろしい事を先生が言うもんだからみんな戦々恐々としてた。
昼休みからその話題で持ちきりだったんだけど、俺はなぜか他のクラスの女の子がやたら訪ねてきて話し合いに参加できなかった。
もう怖すぎる…
俺はただでさえ意思表示が苦手だからKくんどころか誰にも一緒に座ろうなんて言えなかった。
女の子達が帰ってようやくみんなの元に戻ろうとすると、みんなの会話が耳に飛び込んできた。
友A:お前ほんとゆうのこと好きだよなぁ。
いつも一緒にいるし。
は?一緒にいるのはKくんだけじゃない、みんなも一緒だろと思った。
すると、
K:別に好きじゃない。
はっきりとそう言った。いや、言い放った、うん。
あぁ、やっぱり最近様子おかしかったしな、俺嫌われちゃってるみたいだ。
何かしてしまったんだろうか、それともTとの秘密を持ったせいで溝ができてしまったんだろうか。
もう心臓が止まってしまいそうだ。
体中から血の気が引くのを感じて足が固まって動かない。
友A・B:あっ!
K:え?
みんなが俺に気付いた。
ヤバい気まずすぎる。逃げなければ。
大丈夫、俺は何も聞いてないよ。
急にトイレに行きたくなっただけ。
微動だにしない足に必死に力を込めると体の向きを変えて歩き出した。
1番恐れてた事が起きてしまった。