またしてもエロは皆無です。
わかってたんだ。
小学校の頃からそうだった。
どうゆうわけか女の子に好かれて、取り囲まれる事が多かった。
そしてそれを見て良く思わない男子が多い事もわかってた。
それでもいつもの事と割り切って仲良くしてくれる男友達もいたし、普通に話をする相手はたくさんいた。
逆に執拗に攻撃してくる奴もいたけど。
高校で仲良くなったみんなは、女の子に取り囲まれても何も言わず仲良くしてくれた。
女の子といるのは好きだ。
話は面白いしいい匂いだし楽しい。
でも俺は男子といたかった。
ただ中学までは今みたいに毎日一緒に過ごせる相手はいなかった。
仲良い男友達とはクラスが変わってしまって、もう暗黒の時代だった。
でも今は違う、みんながいる。
のに、どうしてこんな事になってしまったのか。
トイレに着くともうダムが決壊したみたいに涙が溢れた。
俺は周りからは派手に見られてる。
女の子を取っ替え引っ替えしてるヤリチンな陽キャだと。
でも本当の俺はそんなんじゃない!
女の子の身体に触れた事もなく、毎日何かに怯える完全なる陰キャなんだよ!
友達に嫌われたらもう生きていけない。
独りぼっちを何よりも恐れる触れたら壊れるジェンガみたいな男なんだ。
ドラマや漫画みたいに一悶着あったからって授業をサボるなんて事現実世界では簡単にはできない。
だから泣いたのがバレないように必死で顔を洗って何事もなかったように教室に戻った。
バスの席なんてどうでもいい、もう何も考えられない。
頭が真っ白だった。
でもとにかく謝ろう。
不愉快な思いをさせてしまった事と、もう関わらないようにするから許して欲しいと。
一つだけ中学と違うのは、高校は自分の意思で辞められるって事。
いざとなったらこの学校からフェードアウトしよう。
そんな時突然肩を掴まれた。
K:一緒に座るよね?
授業中とは言えHRだし旅行の事を話し合う時間なので、昼休みのまんまみんな仲の良い友達と集まって座ってたり立ってたりしてた。
なんでだ?
どうして嫌いな相手と座る?
また目に涙がにじむ。
結局俺は何も発言する事なく、どうやってHRを乗り切ったのか記憶もない。
けど、バスも飛行機もKくんの隣になってた。
Kくんに直接聞かないと。
もうわけがわからない。
俺:Kくん、ト、トイレ行きませんか
K:いいよ。あっついでだしゴミ捨て行こうか
授業は全て終わり掃除の時間だった。
ゴミ捨て場まで少し距離があるし話をするには丁度いいかも。
校舎の裏手にあってなんだか危険な雰囲気。
人はまばらにいるけど、もう聞かずにおくことはできなかった。
俺:ごめんね。
K:えっ?何が?
俺:俺の事嫌いなんでしょ?俺なんかしちゃった?
あの、俺、みんなが言うならもう2度とみんなに近づかないようにするからさ、あの、来るなって言うならもう学校辞めてもいいし、だからほんとにごめんね。許して、ください。
K:は?何?
あぁ、言ってて悲しくなってくる。
泣くのは卑怯なのにまた目から洪水。
生まれて初めてKくんが怖い…
:お前何やってんの?
声がする方を見るとTが立ってた。
T:お前ゆうの事いじめてんの?
K:は?
俺:え?
Tめちゃめちゃ怒ってる。
目が殺し屋のそれだよ…
その図体でその出立ちはヤバい…
俺:ち、違う!いじめられてないよ!
T:なんで泣かしてんの?
K:えっ、いや…
俺:違うって、泣かされてない!
T:ゆう、顔ぐっちゃぐちゃだよ
俺:違うんだよ、これは…俺が勝手に泣いてるだけで…
何でこんな事に…
Tはなぜここに現れたのか…
あぁ、今日はTの視線にまで気を配れなかった。
Kくんとの一悶着も見られてたのかも。
T:お前わかってるよな?
K:はぁ?お前のせいだろ!
はぁ、ただでさえ俺のHPは0に近いのに喧嘩の仲裁なんてできない。
頼むからこれ以上俺の頭を引っ掻き回さないでくれ…
するとチャイムが聞こえた。
T:ほら。
Tが小さなタオルをくれた。
ドラマだと殴り合いの喧嘩が起きて一帯が騒然とすると言う展開なんだろうけど、そうはならなかった。
俺たちは気まずすぎる空気の中教室に戻った。
友C:はぁ〜お前また泣いたんか。
俺:えっ?
バレてる…