ようやく口が離れた時に、俺の口から感情のままに言葉が出た。
俺「ヒカル…イキたい…」
光「えっ?何?」
俺「…イカせて」
わざと言わせたという感じだ。
光「おぅ!判ったよ!でももう少しだけ見させてな」
ヒカルは攻め続けながら鏡の中の俺を隅々まで見つめる。
少しして乳首の攻めとシゴきが強くなり始める。俺もかなり声を荒げだす。首筋や耳を舐めながらも、なおもヒカルは鏡に映る俺の顔をじっと観察している。段々意識がなくなりそうになってくる。もう限界まで来て真っ白になりそうだった。
俺「ヒカル…もうだめ…ィ、イキそう」
光「いいよ。気持ちよくイキな」
そう言って、左手を膝の下に入れ俺の左足を持ち上げ、握った右手を加速させた。
俺「あぁぁぁぁ…イ、イク、イクよ!」
その瞬間、俺は頭を仰け反らせ、一気に放出した。2度3度とかなりの勢いで白い液を飛ばす。まだ出るのかって感じだ。7度ほど出た感覚があり、ようやくヒカルの手の動きが緩やかになっていった…。
呼吸を荒げ、ヒカルに凭れた俺はゆっくり目を開けた。自分の胸から腹、足、バスタオル、鏡にも精液が飛んでいた。鏡の中でヒカルと目が合う。優しい笑顔で俺を見ている。
俺は恥ずかしさも忘れ、ヒカルの笑顔をじっと見つめて、快感の中で至福の喜びを噛み締めていた。
ようやく縛られた手を解かれ、ティッシュで身体を拭いた。
光「あーあーこんなトコまで」
そう言って鏡に飛んだ白液を拭き取っている。初めてのエッチでの失態に顔が熱くなる。
そんな俺に気づいたのか再度俺を後ろから抱きしめる。とても温かくて心地良い抱擁だ。
鏡に写るヒカルの顔を見ながら考える。
俺『いつも無表情だし、エッチはかなりのS。だけどこうして温もりを感じる瞬間がある。乱暴に攻めてるけど、見えないトコで優しく身体を支えたり、大きな手で包む様に守ってくれる。これがきっとヒカルなんだ』
ヒカルに身体を凭れかけていたが、ふいに背中に当たるものに気づいた。
俺『自分の事ばかり考えてたよ』
慌てて座ってるヒカルに向き直り、開いた足の間に顔を埋める。
光「ちょっ…俺はいいから」
ヒカルは慌てて立ち上がりベッドに座る。
俺「?なんで?」
光「シュウは初めてだし、そんな事させたくない。俺また暴れるからさ」
俺「構わないよ。ヒカルが好きだよ。ヒカルが好きな様に扱ってくれて構わないから。それとも図書館でした時、俺ヘタクソだった?」
光「そんな事ないよ。気持ち良すぎてびっくりした。だけどイクところまでしたくないんだ……女としてても、一回もイッた事ないし…」
俺「イキたくないの?」
光「イキたいけど、イクのを見られるのがね…」
頑なに拒否してくる。
俺「気にしないでよ。とりあえずやってみよ?」
光「う、うん」
俺はベッドに座ってるヒカルの半勃ち状態のモノを口に含んだ。舌で転がすように亀頭を舐めると、みるみる口の中で大きくなっていく。
光「う、うっ…気持ちいぃ、たまんねぇ」
俺は段々とスピードを上げていく。ヒカルは立ち上がり、俺の頭を掴んで腰を振り出した。
光「あぁ…我慢できない…すごいよ」
そう言い激しく腰を動かしていたが、急に頭を離し、座ってる俺を立たせ抱きしめてベッドに倒れた。
俺「?」
光「もうこれで充分だから…」
ヒカルは俺の顔を自分の胸に埋め、堅く抱きしめたままじっとしていた。
ヒカルの顔も見えず、どんな様子でいるのかもわからなかった。このままでいいのかわからなかったけど、ヒカルがキツく抱くのでじっとしているしかなかった。
光「飯食べに行こう」
しばらくしてヒカルは起き上がっって言った。
このままで良いものが考えたが、仕方なくヒカルの言う通りにする事にした。
俺の家に向かう途中にファミレスがありそこで食べる事にした。食べたりしてる間はいつものヒカルと違い明るくはしゃいでる感じだった。エッチした事でなのか、自分がイカない事を誤魔化しているのか、その時にははっきりとは分らなかった。
ヒカルのいつもと違うノリを意識しながらも、その後家まで原チャリで送ってもらった。
家の前でバイクを降りた。
光「おーきれいな家だなぁ!約束通り、週末遊びにくるよ」
俺「うん!必ずね。楽しみにしてるから」
俺はもう一度聞いておきたい事があったが、今日は止めとこうと思った。
俺「今日は幸せだったよ!今後ともよろしくお願いします」
最後にペコっと頭を下げた。
光「なんだよ、固い事ヌキな。ずっと一緒にいるよ」
ヒカルは笑顔で答えた。俺も笑顔を返す。キスの一つもしたかったが、ヘルメットを最後まで脱がないから仕方ないかと思った。
光「じゃ明日学校でな」
そう言って手を振り原チャリを走らせた。
俺は角を曲がるまで見送り家に入った。
すぐに風呂に入り、出てから携帯を見るとメールが届いてる。家に着いたという連絡だ。無事に着いて良かったと心から思う。
なんか今日は疲れたし、ボーっと浮かれた気分でベッドに入り、今日の出来事を思い出していた。
いつからだろうか?多分ヒカルと知り合ってからか、布団の中で一日の反省会をするようになっていた。日記を書かない分、記憶に留めるのには良いかなと思う。
『朝家を出る時には、今日がこんな日になるとは思わなかった。昼まではいつも通りに淡々として過ぎていったのに…』
『図書館での出来事。ヒカルは、最初からあれが目的で誘ったのかな…』
ウトウトしながらも、ニヤニヤしちゃてる俺。
『ヒカルの激しさはハンパじゃないな…まるで俺は玩具って感じ…でもヒカルの行動に俺はかなり感じちゃってたな…てかクセになりそう…』
ニヤニヤ…
『ヒカルはなんでイカなかったんだろ……次は…リラックスさせて……一緒に…イキたいし……』
『…ヒカルと…ずっ…と……一緒にい…たい…』
こんな事を思いながらウトウト眠りについていった。
次の日、いつも通りにヒカルは昼に来た。天気もいいし校舎の屋上に行く。
俺たちの学校は屋上に上がる事が禁止されてる。まぁ俺とヒカルはそんな事はお構いなしだ。禁止されてるだけに誰も来ないから丁度良い。
俺「なんか不思議な気分」
光「なにが?」
俺「ヒカルと急にこんな事になっちゃって。今日は昼休みまでが長かったな〜」
光「俺もだよ」
俺「昨日図書館に誘ったのは、最初からあれをする目的の為だったの?」
光「あれは偶然さ」
俺「じゃなんで誘ったの?」
光「暇だったからさ」
俺『何この無表情!今までと変わんないじゃん…』
今までとなんら変わらぬ無表情に、俺は少しムっとした。
俺『ノー天気なのか無関心なのかさっぱりわからないけど、これがヒカルだと思えば良いさ。気にすることない』
そう考えながらしばらく無言でいた。俺の考えてる事がわかったのかヒカルが話しかけてきた。
光「おまえはずっと俺と一緒にいたいのか?」
俺「当たり前じゃん」
光「じゃ俺の好きな様に改造していい?」
俺「どんな風に?」
光「んじゃまず髪型かな。髪伸ばせよ」
俺「なんで?」
光「別に…似合うと思うからだよ」
俺『なんか裏がありそう…まっいいか…』
俺「じゃ頑張ってみるよ!」
そう言って屋上に座る。横にヒカルは寝ころんで目を瞑る。
当たりを見回してみた。風もなく日差しもあり、穏やかで気分が良い。
学校の周りは桜が咲き出した。この辺りでは4月中旬くらいに桜が咲く。ソメイヨシノはもちろんだが、ここ特有のフジザクラという高山系の山桜が咲く。木全体はあまり大きくならない。花は小さく品のあるピンク色に染まる。
その桜の向こうには富士山が聳え立っているのが見える。
桜に富士山…。緑も多くなってきて一番良い季節だ。
この屋上からの眺めは誰でも心を奪われるだろう。今年を入れてあと2回しか見れないなんてちょっと寂しい気がする。
『桜もいつまで保つのかな』
散り際の潔さが良いなんて言うけれど、そんな風には思えない。俺はいつまでも咲いていて欲しいって思う。
横を見るとヒカルがいる。
『腹一杯で寝ちゃってるのかな』
マジマジと顔を見る。
『…かっこいいな』
男なら憧れとして、女の子なら恋愛対象として、みんながコイツの外観を意識する。それが俺の横にいて無防備な姿で寝てるのが不思議なくらいだ。ずっとこのまま続いて欲しいって思う。桜みたいに散らないでずっとずっと横にいて咲き続けて欲しいって…。
チャイムが鳴った。
俺「ヒカル、行かないと」
光「ううぅ〜ん」
半分起き上がりかけたが、俺に凭れかかってくる。
俺「もう!酔ってるんじゃないんだし!」
光「置いていっていいよ」
俺「ダメ〜。ちゃんと授業にでないと!今から授業にコツコツと出て貯金を作っておかなきゃね。一緒に進級するんだからさ」
光「いいよ、おまえだけ進級しろよ」
俺「やだ、つまんないし」
なんとかヒカルの身体を持ち上げ、ようやく立たせる。俺の肩に腕を回しヨレヨレの状態で歩き出す。
俺「全く世話を焼かすんだから…」
ついブツブツと言ってしまう。
俺「先に進級しろなんて、よく言えるよ。俺の事を守るとか言ってたくせに。そう言ったヒカルがかっこよく見えたんだし、一生一緒にいようと思ってるのに」
そう言いつつヒカルを見たら、いつのまにか俺の顔をじっと見てニヤって笑っていた。