しーさんは高校生だったかな?休みの終わりは寂しいよね〜。孝太さん、今日から仕事ですか。頑張ってね。また返信待ってますよ!
とりあえず夜は何もないまま眠ってしまい、次の日の昼過ぎにヒカルは帰る事になった。
光「今度は俺ン家に来いよな。そんなに勉強ばっかしてたって集中できないだろ?」
俺「そうだね。多少家族の目も気にしないとならないけどね」
光「なら学校帰りでも楽しめばいいだろ。ダメなら授業サボってだな」
俺「そんなに無理をさせないでよ」
光「ダメ!決まりな」
昨日の夜の寂し気な雰囲気に気を遣っているのか妙に明るさを伴っていた。
俺「分かったよ」
無理に拒否する事をしても仕方ないので、ここはヒカルの意を汲んで素直に従う事にする。
玄関で立ち話をしていたが、話が纏まったところでヒカルにキスをされた。これもいつもは俺が要求していた様な気がする。
光「じゃな!勉強頑張れよ」
俺「ヒカルもね」
笑顔で別れ、居間に移って窓際からバイクで去っていくヒカルを見守った。
ヒカルの姿が見えなくなった後、しばらくはその場に座り込んでボーっと物思いに耽っていた…。
夏休みも明け、いつもの様にバスで学校に向かった。
俺達の町には登校時にはそれぞれの高校が終点というバスが走っている。毎朝これを利用しているが、同じ学校の生徒だけが乗るので何の気兼ねもない。特に俺は遠方から通うので必ず座っていけるし楽チンだ。
いつも座るのは後ろの方の2人掛けのシートだが、3年になってからというもの、どれだけ混んでいて満員状態でも俺の横の席には誰も座らなかったりする。たまに顔見知りの同級生が座る事があるが、後輩などは座った試しがない。
別に見えないプレッシャーを与えているわけでもないのに、いつもそんな感じなので俺の方が気マズかったが、いつしか『いつもの事』と思い気にする事もなくなってしまった。
2学期最初のこの日もいつも通り満員だったが俺の隣りの席だけは空いている。
今日も本を読んで時間を潰していたが、いきなり誰かが横に座ってきたので慌てて顔を上げた。
一「シュウちゃん、おはよ!」
そこにいたのはイッセイだ。
俺「ビックリするじゃん!なんでここにいるんだよ」
イッセイの家の近くをこのバスが通る事はないから不思議に思える。
一「宿題が終わらなかったから友達の家に泊まったんだよ」
大きな声が意外に響く為、なんとなくバス中の注目を一身に浴びている様な気がしていた。