産婦人科の男医者にはゲイが多い。
そんな話題がふと酒の席で飛び出した。
まぁ酔っぱらいが言い出した事なので、理由を聞いてみれば案の定『マンコ見飽きてチンコにはった』なんていう馬鹿げたもので。
俺は特に気にする事もなく、皆と一緒に笑顔で話に参加した。
そして。
話も最高潮に盛り上がった時、友人のMがいきなり手をあげ、とんでもない提案をした。
『なーなー!その話、じゃんけんやって負けた奴が検証ってのはどうよ?』
俺は飲んでいた焼酎を吹き出しそうになった。
しかし、周りのやつらはといえば…。
『いーねーそれ!めっちゃ楽しそー!』
と笑う友人Aを筆頭に、異常なテンションで賛成し、更に盛り上がる。
俺は焼き鳥の串を手に取ると、真剣な顔でくるくる回した。
(微妙に嫌なんだよなー…負けなきゃ良いってのは分かってんだけどさー…)
どうしても負けた時の事が頭に浮かんで仕方なかった。
もし、何らかのそぶりで俺がゲイだと知れてしまったら、この連中の事だ、何をされるか解らない。
長い付き合いの中、カミングアウトしなかったのもそれが理由だ。
俺は、溜め息をつきながひたすら悩む。
すると、真向かいに座っていた友人のTが心配そうな顔で尋ねてきた。