孝太さん、彼氏さんは元気?どんなタイプの人なのかな?のっちさん、それなら会ってみても大丈夫じゃないかな?頑張ってみて!
トイレに向かったヒカルの後にジンと2人取り残こされる。
仁「なんだか気マズいなぁ」
俺「どうして気マズいのさ」
そんな事は俺にも分かっているが、敢えてその理由をジンに言わせたかった。
仁「まずシュウの勉強の進み具合、それから俺の進路の話とくれば、次はヒカルの事になるだろ?」
俺「まぁ当然の流れだよね。俺ヒカルの進路ってよく知らないんだよ。で、ヒカルの進路を聞く事が何で気マズいの?」
自分で聞けなかった分、意地悪くジンを責め立ててしまっている。
仁「そこら辺を自分で聞きゃいいじゃん」
俺「ジンは知ってるんだ?」
仁「…まぁな。でも何で仲良いのにヒカルの進路くらい知らないんだよ」
俺「だって卒業までのつきあいって言うなら、それから先を知っても知らなくても同じでしょ?今まで興味がなかったんだよ」
ジンの後ろのガラスに薄らと写った俺の顔は、落ち込みとも苛立ちともつかない様な感じだった。
仁「その事だけど、そうじゃなくなる可能性だってあるだろ?だってヒカルが…」
そこまで話したところでヒカルが戻ってきた。
俺『だってヒカルが…その後なんだろ?』
一瞬だけそう思ったが、ヒカルがドスンっと俺の横に座り再び手を握ってきたところでジンの言葉も忘れてしまった。
それにどうせあと少しだけしか会えないのなら、会っている時だけは楽しんでいた方が得策だからだ。
ヒカルの手を握り返し肩に頭を凭れかける。
するとヒカルは俺の首に腕を回し、その手で俺の顔を上に向けさせると、そっとキスをしてきた。
ジンがいるのも関係なく段々と濃厚なキスに発展していく。
仁「ヒュ〜♪」
口笛を吹いてジンに冷やかされたが、ヒカルが服の中に手を入れようとしたところでさすがに拒否した。
光「…都内だよ」
唇を離すと唐突にヒカルが話し出した。
俺「えっ?」
光「俺も都内の学校だよ」
俺「…そうなんだ。なんか遠くに行くんだと勝手に思ってた」
光「色々やりたい事もあったんだけどさ、考え抜いて結局決めた。決めたのもまだ最近の話だよ。2週間くらい前かな」
仁「なら俺と同じ様にいつでも会えるんだよな?」
光「それはできるんじゃねぇの?」
仁「じゃ今だって仲いいんだし続けていけば…」
光「…どうかね」
またキスを始めて誤魔化される。ただ段々と状況は飲み込めてきた。