雨の日、俺は群青の傘をさして歩いていた。
特に目的はなかった。
ただ、学校から逃げ出したから、家にも帰れなかった。
いや、逃げるのが目的なのか・・・
そんな俺のズボンの裾は、グチョグチョに濡れていた。
「どーすっかなぁ・・・」
独り呟く。
ゆっくりと歩く。
家とは逆の住宅街を。
「?」
誰かが、立っている。
空を見上げて。
傘もささずに。
びしょ濡れになって。
年齢は、俺と同じくらい。
つーか・・・
「ウチの制服」
高校生がこんな時間に何してってまぁ、俺も人のコトを言えないが。
でも、傘はさしてるぞ、俺。
立ち止まってソイツを見る。
何かを口ずさんでいる。
「ねぇ」
いきなり喋った!
「君、僕と同じ学校の人でしょ?」
「あ、あぁ」
「何してんの?」
「サボり」
顔がこっちを向く。
「ッ!」
かなり、綺麗。
カッコイイとか、カワイイとかじゃない。
ただ、綺麗だった。
髪の色素が薄いのか、茶色っぽい髪。
「ねぇ、好き?」
「はぁ!?」
「雨、好き?」
「ぁ、なんだ・・・」
なんだじゃないだろ!俺!
「好き?」
「ん〜、二番目に」
「一番は?」
「曇り」
「へぇ〜、変だね」
初対面のヤツに言われた。