のっちさん、電話してどうだったかな?楽しい会話ができた?U2さん、最近元気?寒くなったから犬の散歩で風邪引かないようにね。俺はまだ治らないんだよ…。
遅くまでメールをしていると明日に響くので、ほどほどにして寝る事にした。
その日の寝付きも良く翌朝もすっきりとした目覚めだった。俺にとって緊張という言葉は無いのかもしれないなんて思ってしまう。
第1→第3→第2志望の順番に入試があり、2日おいて同じ順番で1日置きに順次発表が行われていく。
ということでスタートの本命校に全力を尽くした後、残りの2校も淡々と進んでいき恙無くすべての試験が終了となった。
帰りの電車の中で早速ヒカルやカズヤにメールで報告をすると、すぐにヒカルから返事が届いた。
光『お疲れさん。どうだった?』
俺『どうって言われてもね…なんとなくって感じかな』
光『なんだよその頼りなさは!おまえまさか本当に俺の学校に来るつもりじゃないだろうな?』
メールなので感情は文面から読み取るしかないが、いつものキツい言い方の様ではある。すでに入試も済んでいるわけなので今さら俺に気を遣う必要がないって事か…。
俺『ならどうする?』
光『ふざけるな!明日の夜にはそっちに行くからお仕置きしてやる!それまで今日だけはゆっくりさせてやるから、ちゃんと休めよな』
一見怒っている様で最後の一言にヒカルの優しさが凝縮されている事が読み取れる。メールを見ながら俺も『クスッ!』と独り笑顔でいた。
向かい側に座っている女子高生に見られていた様で、少しだけ狼狽えてしまう。
その気持ちとはまた別に、ヒカルと発表を見に行くのはやはりかなり気が引ける。
俺『ホントに来なくていいって!』
光『何言ってんだよ。お仕置きに行くんだからな。勘違いすんなよ』
そもそも何の為にヒカルが来るのかもよく分からないが、何を言ってもヒカルは必ず来る事だけは間違いない。
俺『はいはい、分かったから!じゃ明日ね。迎えに行くから出かける時にメールして!』
光『おぅ!明日な』
合格発表時に一緒なのは辛いが、実際のところ心の底ではヒカルに会いたくて仕方なかった。ヒカルの試験が控えているので悪いとも思ったが、今は一刻も早く会いたい気持ちの方が勝っていた。
明日会ったらあの胸に思い切り飛び込んで包まれていたい。ずっとずっと抱きしめられていたい…。
そんな事を考えて顔を赤らめていたら、再度マジマジと見る女子高生の視線とぶつかった。