ちょっと前に書いた「家庭教師」のつづきです。
前みたいにポンポン更新できないかもですが…。
よかったら見てください。
いちお紹介。
俺大学生。元家庭教師。
かなた中学生。元生徒。
以上。
とある土曜。
ピンポーン
俺は荷物をまとめていた。
てか早いなあ。
と思って出ると…
かなただった。
「え?どしたん?」
かなたはギブスが取れていた。
かなた「遊びに来た。」
部屋に上がりながら…、
いつものかなた口調で不機嫌そうに言った。
「えー?
俺今日明日旅行やって…。
言うてなかったっけ?」
かなた「はー?」
「はー?ちゃうって。
だから来るときは連絡しろって。」
今日は大学のゼミ友と旅行。
その準備をしていたところだった。
かなたは不満そうな顔をした。
まあだいたいいつもやけど…(笑)。
「てか足もう治ったんか?」
かなた「よゆー」
かなたは斜め下を向いて答えた。
「ごめんけど大学のみんなとの旅行やし、もうすぐ出発やねん。」
かなた「俺も行く!」
「はあ?
無理やって。
てか泊まりやで。」
かなた「今日家誰もおらんし。
おかんとえいた明日まで東京。
やからいける。」
かなたは大きいカバンを持ってきていた。
こいつまさか…。
俺んち泊まりに来た系…?
かなた「絶対行くから。」
ピンポーン
みらいだった。
みらい「あれ?
誰この子?」
俺はみらいにあれこれ説明した。
みらいはゼミでは一番仲のいい女の子。
みらい「いいんちゃう。
連れていこうやー。」
かるっ(笑)。
みらい「てかめっちゃかわいいしー。」
かなたはマンガを読んでいた。
ダメ元でたけるに電話してみた。
今日泊まるのはたけるの知り合いの旅館。
大部屋2つ貸し切りなんで全然大丈夫とのこと。
そんなわけで…。
連れていくことに。
あとひとり。
しんやが来た。
しんやの車で出発。
3台の車での旅行。
幸い俺らチームは3人だったんでかなたを乗せることができる。
「てか俺運転かよ。」
しんや「そりゃあ。
俺は車提供係やし。」
しんや助手席。
かなたとみらいは後ろ。
なんやろこの感じ。
しんや「少年、親とか大丈夫なんかー?」
しんやはだいたい中学生くらいまでの子を呼ぶときは少年と呼ぶらしい(笑)。
かなた「うん。」
みらい「てか着替えとかどうするん?
持ってないやんな?」
そう。
大きなカバン。
今日家の人が誰もいないということで。
たぶんかなたは俺んちに泊まりに来た。
だから着替えを持っているはず。
でも周りからすれば、着替えを持ってることはおかしいんでは…。
かなたは自分のカバンを開けだした。
みらい「え?持ってんの?」
開けると大量のお菓子。
全部お菓子(笑)。
かなたは1つ取り出してカバンを閉める。
かなた「1日くらい着替えんでもいける。」
そう…。
かなたはこういうやつやった(笑)。
みらい「そいえば元家庭教師なんやんな?
なんで今も会ってるん?」
来たよ。
そういう質問が。
「え…。
…仲良いからかな。」
そういうのさえちょっと照れた。
みらい「へえ。」
かなたはお菓子を食べながら窓の外を見ていた。
しんやは寝だした。
俺は慣れてない運転にちょっと必死ぎみ。
みらい「私にもちょうだい。」
無言でお菓子を差し出すかなた。
なんか…。
変なギクシャクな感じに後ろがちょっと心配だった。
10分後。
かなた「…みらいに言われたくないし。」
みらい「キャハハ。
ちょっとー。
かわいい顔してかなた生意気すぎー。」
…めちゃめちゃ馴染んでた(笑)。
みらい「てかはやとはどうなん?
ちゃんとやさしく教えてくれた?」
かなた「全然。
めっちゃテキトー。
途中で寝るし。」
みらい「ハハ。ダメじゃーん!」
おいっ。
新しいお菓子を取り出すかなた。
みらい「てかお菓子持ってきすぎやしー。
どんだけ好きやねんって感じー。」
かなた「うっさい。」
みらい「もーらいっ。」
かなた「あー。こっちのんはあかん。」
なんかー。
後ろが楽しそうで…。
「おめーら、うっさいぞ。」
みらい「キャハハハハ」
えーと、完全無視(笑)。
車で3時間。
着いた。
海岸と温泉がある。
大学生11人と中学生1人。
海岸で遊んだ。
かなたとみらいはかなり仲良くなったみたいで。
常に一緒にいた。
少したって。
俺はみんなと少し離れたところにすわった。
夕日がめちゃめちゃきれいだった。
ずっとみらいと一緒にいたかなたは夕日越しにこっちに向かってきた。
俺のとなりにちょこんとすわった。
かなた「はじめて…。
家族以外と旅行来た。」
夕日を見つめながらかなたは言った。
「そうかー。」
かなたの横顔を見ると今まで見たことがないきれいな顔をしていた。
かなたは俺の手をそっと握った。
あいかわらず小さい手。
俺はみんなの目もあったし振り払って立ち上がった。
「あっち行こうや。」
みんなのところへ向かった。
かなたは来なかった。
ビーチバレーをしていたのでまじった。
ふとかなたのほうを見ると…。
えっ?
なに?
かなたが倒れていた。
急いでかけよった。
かなたは俺のほうへ向かって来る途中倒れていた。
「かなた!」
かなたは足を押さえていた。
まだ完治していない足で砂に足を取られた感じ。
かなた「だいじょぶ。
こけただけ。」
足のことがあるのに…。
かなたを1人でほっといた俺…。
俺はおんぶしようとした。
かなた「いけるって。」
無理やりおんぶした。
かなた「ちょ、カッコわりぃ!」
かなたはジタバタした。
「…ごめん。」
かなた「…なにが?」
俺はかなたをしっかり支えてもう一度ゆっくり言った。
「ごめん」
かなたは大人しくなった。
少し沈黙があった。
かなた「…だからいけるって。」
腕で足を支えながら
俺はかなたの手を握った。
「言うたやろ…。
守るって。」
俺は小声で言った。
背中にしっかりとかなたを感じる。
なんか…。
勝手ながら。
安心した。
かなた「…うん」
後ろでかなたは小声で答えた。