皆さんのレスしっかりと読ませてもらっております!
ありがとうございます。
次の日、祝日。
同窓会があった。
中学のときの。
人生初の同窓会。
乗り気じゃなかったけど…。
前から行く約束をしていたんで。
気分も変えて、
行ってみた。
ほとんど中学生以来会ってない奴。
なつかしい〜。
俺にも中学生だった時があったんやー(笑)。
そんなに昔にも感じないけど。
もう今や堂々と酒を飲める年齢。
というわけでいっぱい飲んだ(笑)。
担任「おまえが家庭教師の先生ってー?」
こやつは中3の時の担任。
生徒をみんな下の名前で呼ぶまあまあ若いけどちょっと変な先生。
…俺もか(笑)
担任「はやとが先生って…。
生徒がかわいそうやな(笑)。」
まあそうやけど…(笑)
オメーもやって。
けっこうその先生とは気があってて。
一緒に飲んでしゃべった。
「今も中学校ですか?」
担任「おぅ。
○○中学ってとこ。」
なんと。
かなたのとこだった。
そう。
かなたから担任の名前は聞いてて、
どっかで聞いたことあるなと思ってた。
こいつや。
偶然にも俺の元担任はかなたの今の担任だった。
担任「おー、かなたか。
あいつは生意気やなあ。」
そりゃあね。
担任「あいつ最近やる気ないみたいやけどな。
ちょっと前まで勉強も部活もすげえがんばってたのに。」
やっぱそうなんや…。
担任「でもあそこのお母さんはかなり熱心やったな。」
え?
どゆこと?
「何がですか?」
担任「ちょっと前やけどかなたがいじめられてるんちゃうかって。
相談に来とってな。」
いじめ?
担任「それから注意して見てたけどそんな様子はなかったんやけど。
まあいじめられるような玉じゃないしな。
あいつは。」
たしかに。
ないやろ…。
担任「でもしょっちょうこっそり相談に来とったわ。
ああ。
かなたが入院する前の時期かな。」
学校には暴力のことは漏れていないみたい。
ただ階段から足を滑らせただけだと思っている。
…にしても…
いじめ?
しょっちょう相談に?
…。
ピーンときた。
そう。
かなた母は知ってたんや!
かなたのアザのこと。
誰かに傷つけられていること。
それを学校でのいじめやと思って…。
担任「でもあのお母さんは立派やで。
朝から夜中まで働いて。
ほったらかしにしてるようやけど、ほんまに影で子供のことを考えてて…。」
かなた母は看護婦。
日勤も夜勤もあってかなり不定期。
父親はかなたが小さい頃に別れている。
母親一人で2人の子供を育てている。
担任「話してて子供をしっかり見てるっていうのが伝わってきたな。
最近の母親にしては珍しいで。」
確かに俺と会ってることも気付いてた。
酔いが覚めて…。
呆然となった。
俺はあんなひどいことを…。
次の日。
どうしても話したくて電話してみた。
「この前は…、
本当にすいません。」
母「いえいえ。
本当のことなんで。」
「かなたの傷のこと…
知ってたんですか?」
母「えっ。」
かなた母は一瞬黙った。
母「学校でいじめられてるんじゃないかと思いました。
まさか…、
家庭教師の先生に…。」
やっぱり。
「なんで本人に言わなかったんですか?
問い詰めたら本当のことわかってたのに…。」
母「いじめられてると思ったんで…
かなたはプライド高いし、繊細やし。
詮索したら傷つけるんじゃないかと思って…。
それで真相がわかってからと思って。
でも…。
遅かったんですね。
めちゃくちゃ悩んだんですが…。
母親失格ですね。」
「そんなことない…」
俺はそれ以上言葉が出てこなかった。
母「学校でいじめられても…
いやになっても…
勉強は遅れたらあかんと思って。
家庭教師は絶対続けさせようと思いました。
あの子には…
頑張ってほしくて。
私みたいに苦労してほしくないから。
でも、
全部裏目でしたね。
バカみたい…。」
かなた母の声がか細くなった。
かなたと一緒で。
不器用なだけやん…。
この人は誰よりもかなたのことを想っていた。
表には出さないけど。
しっかりかなたのことを考えてた。
そんな人に…。
俺は…。
なんも知らんくせに…。
最低すぎる。
俺やん。
全く気づかんかったんは。
暴力のこと。
えらそうに、
人に言っといて。
俺は…。
なんなんやろ。
俺はかなたに何かしてあげた?
…。
いやらしいことしただけやん…。
それで母親にはひどいこと言って…。
申し訳なくて。
情けなくて。
何も言葉が出てこなかった。
電話を切った。
動けなかった。
最近かなたと一緒にいた時間は長かった。
やっぱり俺のせい?
部活も勉強もやる気出てない…。
もう会わないで欲しい…。
いろんな言葉が頭をよぎった。
ピンポーン
かなたが来た。
学校帰りだった。
いつものかなただった。
俺は頭の中が整理できていなかった。
どうしていいかわからなかった。
とりあえずいつも通りに…。
「最近ちゃんと勉強してるか?」
かなた「まあ。」
「てか今日部活は?」
かなた「ダルい。」
「てかちゃんと部活行けよ。
あとテストの点数も落ちてんやろ。」
かなた「先生には関係ない。」
多少ムカついた。
でもかなたは悪くない。
「関係ないんやったら来んなやっ!」
かなたは悪くないのはわかってる。
気が付いたら…
大きい声で叫んでた。
少し沈黙があった。
かなた「わかった。」
かなたは立った。
かなた「帰る。」
ドアが閉まった。
かなたは帰った。
数分後。
かなたからメールが来た。
(ごめん)
俺は…
自分が情けなくて仕方なかった。