部屋に入ると、鍵をかけられた。
いきなり後ろから抱き着かれる。
「先輩!?」
首に顔を埋め、スウッと息を吸っている。
「マジイイ匂い。香水つけてんだ。髪も…イイ香りだ」
「先輩…?」
何か、アブナイ雰囲気。
「上手く言えねぇけどさ。その…お前が男なのは分かってる。けど、お前が女の格好してくれて確信したんだ。俺、裕一と付き合いたい」
「本気、なんですか?」
「本気だ。前から気になってたんだ。俺、裕一が好きだ」
「先輩…」
「気持ち、ワリィよな」
抱き締められていた力が緩む。
離れようとするその腕を、俺は掴んだ。
「先輩が本気なら、俺も本気で返さないとですよね」
「裕一、イイのか?」
「はい」
「なら…よっと」
「わッ」
お姫様抱っこされ、ベッドまで運ばれる。
「まずはキスから」
ゆっくりと重なる唇。
「んッ」
俺のファーストキスだった。
何度も啄むようにキスしてくる。
いつの間にか先輩が俺の上に跨がり、腕を押さえられ、襲われているような体勢になっていた。
唇が離し、ケータイを持つ先輩。
「記念」
そう言ってキスしてるトコを撮られた。
「俺の初めてのキスだったから、ワリィ」
「先輩も初めてだったんですか!?」
「まだ童貞だし…。いままで恋人いなかったし」
「俺も、初めてです」
「マジ!?お互いのファーストだね」
いつもと同じなようで違う先輩の笑顔。