一時間もしないでほしとのうちに着いた。
散らかった部屋を想像してたが、思いの外、綺麗だった。
「まあ、適当に座れよ」
と言われて、俺はどこに座ったらいいのかわからず、とりあえずテーブルの前に腰を降ろした。
「・・・別にさ、話さなくてもいいけどさぁ、高校の頃は成績いいほうだったじゃん。それが大学来てないって聞いたから、よほどのことなのかなぁって」
「・・・うん」
どう話すべきだろう。前の俺だったら理解できるわけないって拒絶しただろう。でももう、そんなことはしたくない。
「やっぱ話せない?」
「どう話したらいいのか・・・あんまりこういうこと誰かに話したことないから」
そう答えたらココアを作ってくれた。ありがとうと言って一口含んだ。あったかくておいしい。
「うまいだろ?隠し味入れたんだよ」
「何入れたの?」
「教えてあげないww」
そう言ってベッドに腰を降ろした。
数分して俺は意を決した。「俺さぁバイって言って、女も男も好きになるんだけど、今付き合ってる恋人にけっこう金貸してるんだ」男も好きになる。それを言ってどんびきされるかと思ったがそうではなかった。「いくら貸したんだよ」
「・・・円」
「はあ!?何でそんなに貸すんだよ!」
「・・・」
「そんで?そんだけじゃないんだろ」
ほしとの口調はもう察しがついてるようだった。
「・・・セフレを何人も作ったり、二股かけたり・・・」
それ以上何も言えなかった。それ以上何か言ったら泣いてしまいそうだった。
「てる、ちょっとこっち来て」
そう言ってほしとは自分のすぐ横を叩いた。わけがわからず、俺は言われるまま、ほしとの隣に座った。
その時、何かふわっとした感覚があった。
俺はほしとに抱き寄せられていた。
「・・・ほしと?」