▼じゅんきさん:
>「コウスケ……」
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>この状況を飲み込めない。
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>「入学式の後、西田に会った。そしたらジュンキのこと頼むって言われて、西田の代わりに俺が来ることになった。ジュンキが風邪にいたんは、俺のせいや思うし」
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>コウスケはあいかわらず俺に目を合わせないし、ボソボソと言った。
>見ると、コウスケの右手には、いつかのボロバックがぶら下っている。
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>「レンジでチンすればすぐ食えると思う。今夜の分と、明日の分もある。あと水分とるとええから、スポーツドリンクも」
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>俺を拒んでおきながら、どうしてまた俺のためにここまでしてくれるんだろう
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>なつかしのボロバックは重そうに膨らんでいて、食べ物や飲み物がたくさん入っている。
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>急に目の前がぼやけてきた。
>なぜだか俺の目は涙で溢れ出した。
>涙はどうしようもなく流れ出て、肩の震えも止まらない。
>俺は感謝の言葉ひとつ言えずに、泣いているのだ。
>なんでなのかは俺自身わからない。
>ただコウスケを感じて、泣いてしまう。
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>「お、おい……ジュンキ?どしたんや?」
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>久しぶりにコウスケと目が合う。それなのに、涙でにじんでぼやけてしまう。
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>「いや……なんでもないって…ただ俺……」
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>この後の言葉を言ったら、コウスケはどう思うだろう
>また拒まれるだろうか
>それでも俺は言ってしまいたい
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>俺は声が震えるのを堪えて言った。
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>「……必要だ…コウスケ……」
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>俺の弱い弱い本音が涙とともに流れていった。
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>すると、俺の体は一気に包まれた。
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>「すまん、ジュンキ。ホンマにすまんかった。俺やっぱ、ほっとけん、ジュンキのこと。なぁ、泣くなって」
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>俺を包むコウスケが俺に囁く。
>久しぶりに聞く、優しい声だ。
>それがまた俺を泣かせる。
>コウスケは震える俺を強く抱きしめる。
>それがまた俺を泣かせる。
>コウスケの体は温かくて、それがまた俺を泣かせる。