俺は手川竜(てがわりゅう)。今大学生なんだけど、これから話すのは高校時代の話。進学校で、レベルもそこそこである。大体は近場から通うが、まれに電車で1時間ほどかかるような遠方から通う人もいる。俺はそんな少数派だった。
佐茂勇気(さもゆうき)とは、結果的に3年間同じクラスだった。しかも彼もさっき言った少数派の一人で、家も隣町と近かった。1年の前半は話すことも少なく、家が近いと知ったのも2年生になってからだ。
話してみると、佐茂はけっこうエロい。俺はどちらかといえばムッツリかもしれない。佐茂ほど大胆にはできない。というのも、おれの乳首や股間を服の上から触ってくる。正直最初は驚いた。でも抵抗はするものの、次第に俺はその行為が嫌じゃなくなっていた。むしろ好きだった。何が一番大変かといえば、油断すれば勃起してしまいそうだったことだ。このときからかもしれない。俺が佐茂のことを意識しだしたのは。
夏のある日、俺は初めて佐茂の家に遊びに行くことになった。気づけば家から自転車で15分くらいで着いた。
「おじゃましまーす」
「誰もいねーよ」
「そうなの?」
佐茂は俺をリビングに導いた。本当は佐茂の部屋に行きたいんだけどな。
「暑っ、何する?」
佐茂は俺に聞いてきたが、特に思いつくこともなく。
「ゲーム…なにある?」
そんな事を聞いていた。それよりも俺は、今目の前で上半身裸になる佐茂にくぎ付けだった。
「何見てんだよ」
「何脱いでんだよ」
「いいだろ? 俺の家なんだから。ていうかクーラーがないんだよ! 竜も暑かったら脱いでいいよ」
「あ、うん」
正直暑かったから、俺もすぐに1枚しか着ていないTシャツを脱いだ。
「お前、思ったより筋肉質だな」
確かに太めではあるが、脂肪があるというわけではない。身長も180で、佐茂よりも15センチ程高い。学校ではよく一緒にいるからデコボココンビというベタな名前すらつけられている。
「お前だって腹筋割れてんじゃん」
「…まぁな」
ちょっと照れてる。このときの表情がかわいかった。
(ジーパンでよかった。半勃ちしてんじゃん)
佐茂がPS2を用意しに自分の部屋へ向かったので、俺はリビングのソファーでさりげなく股間を隠していた。