かくして、ボクはラッキョ部隊に追い詰められた。
巨根への襲撃に備えるように、太ももをぎゅっと締め、囲う感じに両手で押さえつける。
ラッキョ部隊は、その強固な護りをどう崩そうか考えていたのだろう、ボクの股間をちらりちらりと覗き見て隙をうかがっていた。
肩まで湯に浸かった状態で両脇と正面から股間に視線を浴びせられる。
両手の中が、硬くなっていくのを感じる。
革が剥け始め、先っぽが熱い……。
極度の興奮と湯あたりで、ボクは三分もしないうちにゆで上がってしまった。
『生殺し』って、こういう感じをいうのかな。
まだラッキョ部隊は動かない。
しびれを切らした千葉クンが、こうちゃく状態を崩しにかかる。
「ハルキ」
股間を指差しされて名を呼ばれた。
乾いた喉で息を呑む。
「タオル、風呂にいれちゃダメだろ」
ボクの股間には、両手で押さえつけられていたタオルがワカメのように靡いていた。
「あ……うん、ごめん」
ボクは、こうしたマナーには厳くて、いつも注意する側だったから(元スカートめくりの常習犯がいうのも理不尽だけど)とにかく反省に気を取られ、ムスコの防衛をすっかり忘れてしまっていた。
湯に浸かったまま、タオルを浴槽の外側で絞る。
両手は股間から離れ、上半身を後ろに捻った拍子に脚は大っ開きになり、ムスコは完全に無防備となった……。
次の瞬間、意図しない感触が竿に走る。
「……ッ!?」
反射的に太ももで股を塞ぎ、上から股座めがけて絞りたてのタオルを突っ込んだ。
太ももの間で、異様に肥大化しゴツゴツと変形したムスコを感じる。
どうやら挟んでいるのはボクの手じゃない……、
千葉クンの手だった。
千葉クンがボクを握っていたのだ。
大きな湯音をたててしまったせいか、それとも前々からだろうか、入浴中の何人かがこちらを視ていた。
恥ずかしさで、ボクは硬直する。
千葉クンは慌てて手を引っこ抜こうと股の間でもがいている(千葉クンの力なら、直ぐさま引っこ抜くくらいできたはずなので、触りたいわけじゃないんだぞというアピールをしたんだと思う)
その刺激がなんともいえなくて、全身が強張ってしまい、ぎゅうぎゅうに閉じられた太股はピクピクと痙攣していた。
それから程なく、ムスコの重力に押しつぶされるように身が丸まっていき、ボクは水没した。
「だいじょぶか?」
「……うん」
あれから背中を洗い合ったり軽く覗きあったりしたけど、それ以上のことはなかった。
人目があったからだろう。
それでもボクは、かつて無いほどのぼせてしまい、こうしてみんなから心配されている。直ぐに治ったけど。
ボクらは団体部屋で晩飯を済ませてから、ルール無用の卓球をして、消灯一時間前に班用の部屋に落ち着いた。
ボクは適当な布団を選んでその上に潰れる。っが、そこは千葉クンの寝床とは離れていたので慌てて友達と入れ替わってもらった。
ボクはみんなが寝静まった夜中に千葉クンを襲おうと、スキー合宿する一月前から腹に決めていた。
しかし、その計画は失敗に終わる。
自分が襲われるなんて、夢にも思わなかったから……。