この話は、僕が高校生の頃の話…
桜が蕾を付け始めた3月、まだ中学を卒業して幾日も経たない頃
僕は他の入学予定の生徒たちより早く、この高校の男子寮に入寮した。
僕はたいと。小学校の頃から空手を習ってて中学の時道場の師範の紹介で、この高校に特待生として入学する事になってた。
この高校はサッカーや野球、空手やバレーボールなどが盛んな、いわゆるスポーツ高校だった。
その中でも一番権力や力の強い部が空手部で、県はもちろんのこと全国でも有数の強豪校だからだ。
僕は入寮する朝、母と一緒に高校に向かった。
母「緊張してる?」
たい「してない方がおかしくない?」
母「確かに」
母がにやにやしながら、そう言った。
無理もない。他の同級生たちが遊びまくってる、この時期に入寮し早々と地獄の練習が待ってるのだ。
この高校の練習のハードさは、他の高校の空手部が哀れむ程キツい事で有名だ。
上下関係、いわゆる先輩後輩の関係も半端じゃない。
なぜ、そんな所に入ったかは後にして、男子寮に着いた。
他の同期の子たちも来ていた。
まずは自分の部屋に荷物運びから、部活の顧問の先生が案内してくれた。
さっさと、引っ越し終わらせようと母と黙々と割り当てられた部屋を片付けてた、その時
?「どもっ。初めまして。」
母と振り返ったら、そこには僕と同じ歳くらいの男の子が立ってた。
母「あらあら、今度空手部の子?どうぞ、うちの子よろしくね。たい君挨拶!」
たい「あっよろしく。たいとって言います。」
はや「俺、はやと。よろしく。」
かなり、冷たい感じで言い放ってスタスタと歩いていった。
母「お母さんも挨拶してくるね」
と言い、母は他の子の親に挨拶に言った。
僕は部屋を片付けながら、ずっとはやとが頭から離れなかった。
あれは、ヤンキーだっ…恐すぎる。そう、はやとは中学の頃、悪さばかりしていた。煙草・お酒当たり前、喧嘩上等って感じで過ごしてた。その時たまたま部監督が地元で、元気な子を探してて、はやとに目を付けたらしい。
それは挨拶から帰ってきた母から聞いた。
つづく