その時、俺は発見しました。浅田の目からつーっと涙がこぼれているのを。その姿はやけに悲しげで、俺はドキッとしてしまいました。
「俺のも舐めてよ」
部長が浅田に自分の下半身を突き出しました。自分の中腰の姿勢がしんどくなり、かがんだその時、自分の隣にペン立てが音を立てて落ち、俺はビクッとしました。
「誰だ!?」
部長の声が聞こえ、そしてその荒い息はこちらに向かっているようです。俺はくるりと翻り、かがんだまま歩いて部長の死角になるように移動しました。
その時、パッと辺りが明るくなりました。部長が電気をつけたようです。部長は「いるのは分かってるんだぞ!!」と雄叫びのような声をあげて、俺を探し始めました。
こっちに来る。俺はまた忍び足で移動を……開始する前に、部長の右手に光るものを見てしまいました。恐らくカッターナイフでしょう。
俺は落ちていたボールペンを俺の反対方向に投げました。ボールペンが音を立てて壁に当たり落ちました。部長は鬼の形相で「殺してやる……!」と言いながらボールペンの落下地点に向かいました。俺はその隙に電気のスイッチを切りました。
「どこだぁ!」
この部屋にはスイッチが3カ所にあります。部長は俺からいちばん離れたスイッチに向かいました。
つづく