コメントありがとうございます。
展開も更新も遅くてスミマセン。
続きです。
「ケイってさ、サクランボの茎、口の中で結べる? ほら」
マサキは器用に口の中でクチュクチュッと結んだ茎を自慢するみたいに見せてきました。
僕もそんなのはお安い御用で、口の中でクリクリと舌を動かして、結び目を作ってみせてやりました。
僕が結び目を作っているのをニヤニヤ見つめていたマサキは、感心して結び目を眺めました。
「おー、意外だ。ケイも意外にうまいんだな」
「意外は余計だよ」
残り少なくなったサクランボを僕はまた1つ頬張ります。
「いや、ケイは絶対したことないからヘタだと思った」
「勝手に決めつけるなよ。特技と言ってもいいくらいだよ」
「特技かよっ」
マサキはケタケタ笑いました。
「そうだよ」
僕はムキになってもう一度、茎を口の中に放り込んで結び目を作ると、舌の上に乗せてペロリと出して見せてやりました。
さっきよりも速くできたので僕は得意になっていました。
「な、うまいだろ?」
それまで、じっと見ていたマサキは途端に視線を逸らしました。
「なんだよ?」
「いや…それ、自己紹介の時なんかに言わないほうがいいぞ。…あと、俺以外の前ではすんなよ、ヤバいから…」
「はい? ヤバいって?」
「…あ、いや、顔が」
マサキは僕のことをチラチラ見ます。
「え、ウソ。そんな変な顔してた?」
「いやぁ、変じゃなくって…」
マサキはもぞもぞと身体を揺すっていました。
「なんだよ? はっきり言えよ」
「なんつうか…エロい」
「は?」
「ケイのそれ、エロいんだよ」
マサキは困り果てたような顔で言いました。
僕は途端に顔が真っ赤になるのが分かりました。
「バ…バカか! もう、何言ってんだよ、変態! 全部、食べちゃうぞ!」
僕は残りのサクランボに手を伸ばしました。
「ちょっと、ちょっと待てよ、半分こだろ!」
マサキも手を伸ばしてきてサクランボの取り合いになりました。
結果、僕が2つ、マサキが3つという戦績でサクランボは無くなりました。
「言えっていうから言ったのに、言わなきゃよかった…」
とマサキが言うから、僕は叱りました。
「バカ、そういう風に人のこと見てることが間違いなんだよ!」
僕は、マサキの正面に座っていられないくらい恥ずかしくなってきて、立ち上がると窓の側まで行き、外を眺めながらサクランボを頬張りました。
「エロいってなんだよ…エロいのはマサキの頭の中じゃないの?」
僕はぶつくさと窓の外を眺めながら文句を言いました。
「そうなのか? エロいのは俺なのか?」
マサキの自問する声が後ろから聞こえてきました。
「知らないよ」
顔の火照りがなかなか収まらなくて、僕は困って窓の外ばかり見ていました。