僕らは30を超えたばかりだ。
だけど、ここに書き込むのをどうか許してほしいと思う。
なぜ書き込むかと言えば、僕はこの匿名性を利用して、
彼は僕のことをどう思っているのか意見を聞きたかったから。
たぶん数ヶ月前、酔っ払っているときだったと思う。
何かの話の流れで、ヤツが「ブロークバックマウンテン」というタイトルを口にした。
久しく映画を観てなかったからすぐに理解できなくて、
「ぶろーくばっくまうんてん?」なんてまるでカマトトぶった答えをしてしまった。
まだそのときは、僕らはそれでもまだ「一線」を越えてなかった。
今日、その「ブロークバックマウンテン」を観た。
感情を押し殺しながらしゃべったり、
ガキみたいにふざけあって気持ちを寄せ合ったり、
僕は自分の心を覗かれているみたいな気分だった。
いろんなことがよみがえってくる。
ヤツとは大学時代に出会った。
外見はかなりモテるタイプだと思う。
ただ、僕は彼の博識な部分と前向きな(向こう見ずな)ところが気に入って、
よくほかの友人らとも一緒に、旅をしたり、飲み明かしたりしていた。
なぜか自分のことをたくさん話せた。そしていつも最後まで聞いてくれた。
3年生の冬、居酒屋で飲んだくれた僕ら仲間は、
彼の家で飲みなおし始めた。
彼は相当酔っ払っていたのだろう、
ベッドに立った彼は、なぜかパンツを脱いで僕らに興奮気味に見せてきた。
「何やってるんだよ!」なんて制止する僕と友人。
その日は、ワインを2、3本空けて、みんな酔いつぶれてしまった。
僕とヤツは同じベッドで、もう1人の友人はカーペットの上で。
明け方、カーペットに寝ていた友人が始発で帰った。
部屋にはヤツと僕だけが残った。
もう、10年も前のことだ、多少記憶もあいまいだ。
僕はちょうど彼女に振られたのもあって、誰かに甘えたかった。
僕は彼に抱きついて、首元や胸にキスをした。
半分は彼女を思い出しながら、半分は彼の反応を伺いながら。
彼は拒絶しなかった。
僕らはお互いの下半身をしごきながら、ただただ抱き合った。
だけど、僕はそれでは我慢できず、彼を無我夢中でしゃぶり始めた。
あいつは、勃起はするんだけど、それだけだった。
逆にあいつは透明の液が出ている僕のをじっくりと観察していた。
ちなみに、僕が手術をしていることは、そのときに明らかになったと思う。
ひとしきり抱き合うと、お互いまた二日酔いで眠ってしまい、
その日は夕方になって自分の家に帰った。