「ユウ、寝よ」
「うん!」
二人でベッドに潜る。
「暖かポカポカ〜」
また変な言葉を作ってるユウ。
「ポカポカ〜で眠くなるよ〜」
正直、会ったばかりの頃はウザくて仕方無かった。
2学期から転入してきて馴染めずにいた。
勉強のやり方、活動の時間の差にも戸惑っていた。
頑張りは分かる。
でも、黒板の前で考える度に「ぇとぇと…んと…」とかって言うのがムカついた。
話しかける時も「そだよね!だよね!」って必死に馴染もうとしてるのが分かった。
でも、ムカついた。
わざとらしいと思ったから。
ある日、嫌いなグループがユウをイジメてた。
イジメって言っても、暴力じゃなくて物を隠したりとかそんな程度。
靴下で廊下を走り、上はYシャツ、下はジャージでいる。
泣くこともせず、誰にも言わず。
一人で必死に届かないとこにあるズボンを取ろうとしてた。
俺が近寄ると「卓也クンどしたの?」
泣きそうな顔で笑ってた。
俺はズボンを取ってやった。
「ぁ、ぁりがと…です」
「靴も探すぞ」
「ぅ?」
「一人じゃ大変だろ?」
「卓也クン、いいの?」
「あのグループが嫌いなだけ。別にお前を助けたいわけじゃない」
「そか…。ありがとにゃ」
俺の言葉をどんなふうに捉えたのかは分からないが、あの時のユウは優しい笑顔を浮かべていた。