当時、俺は予備校に通っていたので、よくあの駅を使っていました。ある夜、授業が早く終わったので近くの本屋に参考書を買いに行きました。
長い本棚をずっと見て、参考書を探していると、「淳士!」の声とともに突然肩を叩かれました。振り返るとそこには悠介の顔。制服を着て、少し汗をかいたその姿に見とれてしまいました。
悠介「こんなとこで何してるん?」と言いながら俺の顔を覗き込む。
淳士「いや…その…参考書をさ、買おうと思って;悠介こそどないしたん?」そう言ったものの、緊張で滑舌が悪くなってしまい、おどおどしてしまいました。
悠介「俺は部活の帰り!んで今日は欲しい本の発売日やからここに寄ったら淳士見つけてさ!」
淳士「あぁ…なるほどね。こんな時間までお疲れ様やなあ…。見つけてくれて嬉しいよ。」
悠介「ホンマ疲れたし〜。もうクタクタやけど、淳士と話してたら疲れ吹っ飛ぶわ!」
なんて言ってニコッと満面の笑みで微笑む。その顔がまた可愛いくて、自然と俺の顔も笑ってしまう。
悠介「淳士、大丈夫?あのさ…時間ある?よかったら俺ん家に来やへん?ゆっくり話したいねんけど…」
とちょっと首を傾げて聞いてくる。俺は少し迷ったけど、行くことにした。
悠介「………でさあ、そこでボールがさ………」
と部活について話す悠介はとても輝いていて、なんだか小さな子供が夢について語るような感じがしました。10分ほど歩いてるうちに悠介の家に着いた。
淳士「でか…」
本当にその一言しか出なかった。今には珍しい昔からの日本建築で、広い庭も綺麗に手入れされ、光で照らされていてとても美しかった。
悠介「そうかな?ほら、早く入ってよ。」
淳士「あ、うん。」
俺は促されるままに家に入った。家の中はリフォームしたのか、新築のように綺麗だった。埃など全く無いような…そんな感じさえしました。
悠介「俺の部屋は2階の突き当たりの部屋やから先に行っててくれる?俺軽くだけシャワー浴びてくるわ。」
悠介はそう言って風呂場へ行ってしまった。マイペースなんだな(笑)と思いつつ、部屋に入った。部屋の中はやっぱり野球部だな〜って感じで、好きな野球選手のポスターが壁に貼ってあったり、サイン入りのボールが置かれてあった。机の上には勉強道具が散らばってたので「意外に勉強とかするんだ…」と思って、部屋の中を見てると部屋に悠介が入ってきた。