通された部屋で写真を一枚ずつ撮影し、用意された椅子に座った。
「これから、あなた達には自分がどんなことをしてここにきたのかを他の人に言ってもらいます。名前、住んでる場所、年齢。あとは、どうしてここにきたのか。」
そう優しく俺達に言ったのは施設を運営する優しそうな女性だ。年齢は50半ば程だろうか。
笑った時のえくぼがとても空気を和ませた。
今見えるだけで俺を含めて7人。まずは一番左のやつが話し始める。
「名前は和希。21、東京。なんできたか?あー・・・喧嘩売ってきたから買ったら。」
口数少なげに終えた自己紹介。見た目はかなりイカつくベリーショートとはっきりした男らしい顔の和希。
「俺は智弥で年は22。住んでるのは神奈川県。ここにきた理由は万引き。」
智弥は爽やかなお兄さん。
茶色に染められたショートヘアと犬っぽい顔。
「えーと!俺は保です。年は19で住んでるのは千葉。ここに着たのは詐欺?ってやつです。」ちょっと間抜けそうだけど、イメージは部活の後輩な保。坊主頭の可愛いヤンチャ系。笑うと見える八重歯が特徴。
「俺は竜太。今20で住んでるのは東京。ここにきた理由は・・・」
「かったりぃ。やってられねぇ。」
俺が自己紹介を始めると隣から声がした。
見るからに悪そうな室内でサングラスかけてる明。
頬に古い傷があるのが目立つ。「やってらんねぇ。んな暢気にみんなで自己紹介かよ。笑わせんなよ。」
けらけら笑いながら明が俺を見た。
「てめぇ、黙って聞いてらんねぇのか。」
和希だ。
「はー?黙れよ。お前の話す時間は終わっただろーが。」
明が和希を挑発する。
和希が席を立とうとした時、院長が立ち上がった。
「この施設での喧嘩を含む暴力は一切禁止です。自己紹介は途中ですが、今日はやめてまた明日にします。」
俺達は宿泊施設に案内された。そこは一見、普通のマンションと変わらなかった。
俺と智弥と保と和希は同じ部屋らしい。
鍵を渡されたのは智弥でぞろぞろと中に入った。
普通のマンションと変わらない作りで大きなリビング、リビングを囲むように部屋が4つ。
風呂もトイレもある。
そこで気付いた。
和希がいないことに。