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続きです
ふと気付いたんだけど、今日は自転車に乗っていなかった。聞くと、俺と一緒に歩きたかったとか(笑)
坂道を二人で歩く…。特に会話も無く、悠介が歩く後を着いて行った。いつもと違う道だったけど、近道なんだと思って歩いて行くと
悠介「ちょっと振り向いてみて!」
俺は言われるままに振り向く。するとそこからは綺麗な夕陽が見えた。建ち並ぶ建物のちょうど低い部分にうまい具合に太陽が見え、とても綺麗だった。
悠介「ここからの夕陽綺麗じゃない?地元の子しか知らんねんで(笑)違う道来たのも淳士にこれ見せたかったからやで」
なんてロマンチストなんだろう…と俺は思った。悠介とデートなんて行ったら楽しいんだろうな〜って少しばかり考えてしまう。
淳士「ホンマや…綺麗…」
その景色に見とれてると、視線を感じた。横を見ると悠介が俺の方を見てる。夕陽に照らされて、普段より大人っぽく見える彼に俺の心が揺れる。悠介は無言のままニコッと微笑んだが、その笑顔は何故だか淋しげに見えた。
悠介「あのさ…俺な、レギュラー取れへんかも知れんねん。もう3年の先輩も引退して、他の1年の中からレギュラー出てるのに…俺って才能無いんかな…」
それは初めて見せた自身の弱音だった。悠介はそう言うと俯いて話さなくなった。俺は悠介の手を握る。
淳士「俺な、野球のこととか全然わからへん。でも、そんな簡単に諦めてほしくないな。今回レギュラー取れなくても、まだ次があるやろ?来年になったらまた変わるやろうし…それに努力は報われるって言うやん?俺は悠介が一番努力してるの知ってるよ。だから自信持って?俺ずっと応援してるから。」
そう言ってからしばらくすると、手を握り返してきた。顔を見ると涙を流していた。そして俺の胸に顔を埋める。黙ったまま泣いている彼の背中に手を回し、軽く抱いてあげた。泣きつづける彼に俺は
淳士「男の子やろ?そんな簡単に泣いたらアカンよ。でも…つらい事があったら俺の胸でいくらでも泣いていいよ。だから他の場所では泣かんようにな。」
悠介は黙って頷く。しばらく夕陽を眺めながらそうしていると、悠介は泣き止んだようで、俺を見上げる。
悠介「淳士、ありがとう。そろそろ家に行こうっか」
それだけ告げると家に向かって歩き出す。俺は後を歩いて、小さな背中をずっと見ていた。