「コウタ、遊び行かね?」
「金ねぇからパス」
「俺がおごるからさ」
「ならイイケド…。そんな金あんの?」
「あるある」
「なんで?」
「後で話す。ほら行こ」
高2の2学期。
俺とユウトはいつでも一緒にいるような仲だった。
「何で金入ったの?」
ウチの学校はバイトが禁止だったから不思議だった。
「聞きたい?」
「うん」
「何かさ。帰りに知らないおっさんに声かけられてさ「2万円あげるからトイレでフェラさせて」って言われてしてもらったんだよ」
「男に!?」
「あぁ。初めて他人にされたんだけどさ、マジ気持ち良かった」
「そなんだ」
この時はまだユウトのコトを好きじゃなかったが、何故か胸がモヤモヤしていた。
そして、その2週間後の沖縄修学旅行の夜。
風呂にも入り終わって、二人で休んでいた。
「二人部屋で良かったな」
「うん」
「疲れたなぁ」
ソファーが3つあるのに、あえて二人掛けのソファーに二人で座った。
「初めてだな」
「何が?」
「泊まるの」
「うん…」
「…なぁ」
「ん?」
「俺、変かも知れない」
見つめられてドキッとした。
169センチの俺は決して低い方ではないと思う。
でも、180近いユウトからしたら小さい。
いつも見上げる感じ。
「ユウトは変じゃないよ」
「…俺―――が―き…」
「ん?何?」
「だ、だから…俺…」
顔を赤くするユウト。
俺の手に自分の手を重ねてきた。
「コ…コウタが…その…好きで…」
初めてユウトの涙を見た。
手をギュッと握ってきた。
「変なのは分かってるけど…俺…」
何故かは分からない。
でも、俺も泣いていた。