結局、それから一週間たたないで嶺と三原は別れた―
三原は嶺が決める前から薄々別れるんじゃないかって思ってたらしくて、よく泣いてるって女子から聞いたりもした
せっかく嶺と付き合えたのに、願いが叶ったのに結局なんもなくて、カップルらしいことなんて結局一つもしなくて…こんなのただ気もたせただけじゃん…期待させるだけさせといて振るとか最悪だよ……
そんな三原の気持ちはオレには痛いほどわかった
オレも嶺が離れてしまいそうになったから
けど、オレは無情にも三原のそんな様子を聞いていながら一度も嶺に『やっぱ、別れるのやめなよ』とか一言も言わなかったし、言えなかった
オレも嶺が女の三原よりもオレを選んでくれるんじゃないかって、幻想をみはじめていたから…オレも嶺に期待してたんだね
オレは三原から相談されたり、話すと後ろめたさに苛まれた
だから、なるべく三原とは顔を遭わせないようにしたし、極力メールもさけた
それでも三原が落ち込んでるのは伝わってきた―
嶺は嶺でもう別れるって迷いなく心に決めたようだった
けど、そこからが問題だった
嶺はどうしても直接で言うのが気まずいらしくて、それと三原に直接泣かれるのが怖いみたいで、別れをメールで伝えたいってずっといってた。けど、嶺のことだからそのメールでの内容もきっと曖昧で相手に期待を持たせるものになるのは予想できた。
現に三原は、『好きじゃなくてもいいから、付き合って』とか言ってるわけだし―
そこはきっぱり言わないときっとよくないし、多分直接のがいい―
それはオレだけじゃなくて、三原に相談されていた女子たちも同じ意見だった。
嶺がヘタレなのがいけないんだけど 笑
でも絶対に直接言うべきだってオレは何度も嶺に言った
きっと三原もそっちのがいいと思うと思うし…
っていうオレの勝手な考えだけど。
それでも嶺は結局、メールにするって聞かなくて…メールで伝えた
その時に、せめて三原がまた傷つかないように嶺が思わせぶりなことを書かないようにオレがメールをかなり手伝った
自分が嶺が振る引き金を引いたのに、『なるべく傷つかないように』とか勝手だよな…
でも、嶺の思わせぶりな態度で振り回されてる三原を見ていてホントにかわいそうだったし申し訳ない気持ちもあった
だからせめて、三原が嶺と別れても早く立ち直れるようにしたかった
そして、嶺はメールで三原に別れを告げて、二人の関係は終わった
でも、今思うとこのメールが全ての始まりだった―
それから春休みまでは、なんにもなくて楽しい日が続いた
嶺とも時々喧嘩したりしたけど、すぐ仲直するようなものだったし
嶺は2年から特進クラスにくることにしたから2年から同じクラスになるのが楽しみだった
その頃には嶺に対する自分の気持ちがどうとか、ゲイかもとか、もうどうでもよくなって考えなくなってた
『嶺と1番近いのはきっと自分』オレにはもうそれだけで充分だった
でも嶺は違ったんだね