着いた。
どこにかって、そりゃ先輩の部屋の前にだよ。
しーんとしているが先輩は本当にいるのだろうか…。
それで、一緒にビデオなんて見れるのだろうか…。
まぁ考えても仕方ないか。そんな展開なくても先輩の部屋をおがめるだけで妄想のネタにできるし。
そう思って、先輩の部屋のドアを三回ノックする。
「開いてるぞー!!」
愛しい声がして、ノブに手をかけ中へとはいる。
「よく来たな。このスケベ。」
先輩は悪ガキみたいな笑顔を浮かべている。
「先輩が誘ったんじゃないっすかぁ。」
「そうだったな。まぁ座れよ」
言われるままに先輩の隣に少し間を空けてベッドに腰掛けた。なんとなく周りを見回してみると、案外片付いてると思った。自分の部屋はかなり散らかってるし。
「ちゃんと掃除してるんですね。」
「いや、いつもは汚ねぇよ。もうすぐ寮出るからそれの準備してんだよ。」
「えッ!?」
うそだろ?
うちの寮は特に全員が寮に入っているわけではないが大多数が入居している。
一般的な寮からしてはキレイだし、家賃も半分以下だからだ。
先輩が卒業より先に出て行くなんて…。
「なんだ悲しそうな顔して。カワイいな。」
「悲しくないっすよ。でも…どうして?」
かわいいとか言われてもそれどころじゃない。なんでだよ…。
「いやな。俺のおじさんがマンション持っててな。ちょうどそこが空いたから住まわせてくれるって言うんだよ。」
「…そうっすか。それじゃしょうがないっすね。」
「んー。そゆことだ。それで、早速だがビデオ見ようぜ!ビデオ!!」
「…はい。」
そうだよな。
どうせノンケなんだからどうしようもないし。どうせなら今を楽しもう。