俺が住んでるとこから高校まではスゲェ遠い。
チャリで駅まで行って、それから電車に乗ってバスに乗って…。
私立なんかに行かなきゃ良かった。
どうせ家を継ぐんだし。
帰り道。
こんな道にも、ちらほらと外灯がある。
でも怖い。
幽霊とか嫌い。
「啓ちゃん」
「うおっ!」
いきなり掛けられた声に驚き、俺は転んだ。
「大丈夫か?」
「イテェ…」
その人の顔を見る。
「カッちゃん?」
近所の人。
ひとつ年上の先輩。
でも昔から一緒だったから敬語は使わない。
ついでに、俺はカッちゃんに憧れて私立に入った。
「なんで疑問になる。こんなイケメン忘れられないだろ」
「はぃはぃ」
「それが先輩に対する態度か?」
「センパイカッコイイ」
「ロボットみたいに言うな!」
「じゃあ…」
チョット考えたあと。
「先輩…カッコイイですね。それに優しいし…。僕、好きになっちゃいました」
「バカ!恥ずかしいわ!てかホモか!」
「あはは。カッちゃんからかうの楽しいなぁ」
二人でチャリを引き歩く。
「勉強分かんないとこあるか?教えるぞ」
「じゃあ…性教育」
「していいの?」
「ん〜気分次第」
「イイのかよ」
本当はすぐにでもされたい。
でも、そんなこと言えなかった。