高1の頃。
その頃にはもう、
身体を重ねることに慣れていた。
恋愛感情抜きで。
金や性欲。
それだけで抱かれることに。
当時の悩みは、
身長の低さと、
金をくれる人の大体がオヤジだということだった。
出掛ける口実なんて簡単。
カラオケとか、
学校にピアノ弾きにとか。
とにかく音楽に関することを言えばイイ。
ウチの親は音楽が好きだ。
母親はピアノの先生だし、合唱もやってる。
父はジャズ音楽。
そんな両親を尊敬してるし、
自分も音楽をやりたいと思う。
だけど、才能の問題。
俺には歌の才能も、楽器の才能もない。
普通に上手いだけ。
一般の中にいくらでもいるような上手さ。
奏という名前も、
音楽を奏でで欲しいという願いからだと思う。
最初に抱かれたのは中2の夏。
親に対する反抗心からだった。
普通と違う道。
普通は通らない道。
それを犯したかった。
何かあっても金が欲しかったと言えるように援交で。
堕ちるのを感じていた。
でも、何人目かに抱かれた時。
喜んでる自分に気付いた。
親に理解されない自分。
可哀想な自分。
抱かれることで理解されようとしてる自分。
自分のために抱かれてた。
金とか欲のせいにしてたけど違う。
ただ理解されたかっただけ。
そんなことを悩んだのも束の間。
抱かれることに溺れていった。
そのときだけは、音楽から逃げだせたから。