「誰に向かって言ってんだよ」
「はいはい」
こいつが掃除なんかやるわけないよなぁ。
「大輔、ここ汚れてる」
「はいよ」
空太の足下を雑巾で拭く。
「よく付き合ってられるなぁ」
竜一が話しかけてきた。
「空太と一緒にいてイライラしねぇの?」
「するけど…まぁ楽しいし」
周りが思ってるほど悪いやつじゃない。
ツンデレだったり料理上手かったり。
「大輔まだかぁ?」
「わりぃわりぃ。じゃあ空太待ってるから。また明日な」
「おい…」
「ぁ…ん…」
いきなりのキスにも慣れてる。
「見られたらマズイから…」
「明日は一緒に帰ろうな」
「うん、またね」
「大輔、ほら」
「はいはい」
荷物をチャリのカゴに詰める。
「大輔…あの…」
「ん?」
「今日家に誰もいないから…その…」
言いたいことは分かる。
寂しがり家なこいつが家に一人でいれないのくらい知ってるし、前にも泊まりに行った。
「家に泊まりに来てもイイぞ」
「え〜。どうすっかなぁ」
「む…無理なら…イイ」
あれ…。
今日は妙に諦めがイイ。
「やっぱ荷物自分で持つ。てかバスで帰る!」
「空太?」
「うっせぇバカ!早く行けよ!」
「あぁ…また明日な」
「…じゃ」
俺はチャリに乗って帰宅した。