晃さんがビールを一口飲むと、
「さとし、聞いてほしいんだけど。」
と、声を低めにして話してきた。
顔を見ると、真顔で、けど少し不安そうに僕を見ていた。
「なんすか?」
ちょっと場の空気がいやで軽く笑いながら聞いた。
「俺・・・さとしがずっと好きだった。」
・・・僕は思考停止した。
なんか変な空耳が聞こえたように思えた。
「俺は男が好きなんだ。さとしをあの薬局で見て、カッコいいとか可愛いとか思ってた。だから今日本屋で会った時は、何か運命を感じた。」
いつの間にか晃さんは顔を下に向いたまま話していた。
「薬局でいつも丁寧に接してくれるさとしを、好き過ぎて見れなかった。今だって、実は心臓が出そうなんだ。」
僕も下を向いて話を聞いた。
「・・・気持ち悪いよな?男が男を好きだなんて。しかも29のオッサンだぜ。」
晃さんは黙ってしまった。涙を流しているのか、床にしずくが垂れてる。
「・・・僕も晃さんが気になってました。」
僕は気持ちを打ち明けた。
晃さんはまた僕を見てきた。
「最初はカッコいいな〜とか、目がきれいだな〜とか思って、お客さんなのにすごい礼儀正しくて、気づいたら毎週日曜日に晃さんが来るのを楽しみにしてる自分がいたんだ。」
「さとし、ホント?」
「今日も本屋でぶつかって会った時、実は頭がパニクってて、緊張しまくってさ。でも晃さんが僕を覚えててくれてすげぇ嬉しかった。」
しばらく沈黙した。
「さとし、好きだ。」
晃さんが告白してきた。
「さとし、付き合ってくれ。」
「・・・僕なんかでよければ」
と応えるのが精一杯だった。
晃さんがキスしてきた。
唇を軽く付けた後、舌も絡ませた。
続く