ラストです♪最後までかけて良かったです♪コメントありがとうございました♪
その後、さっきは一人で浸かった湯船に二人で入った。マサトは、終わってからずーっと笑顔。
「気持ち悪いくらい笑顔だな」
「ひどいですね。ヒカルさんが俺の笑顔が好きーって言ってくれたんで」
「…………」
「俺もヒカルさんの笑顔、マジ好きです」
「恥ずかしいこと普通に言うよな…」
「あ、でも一番はやっぱ、エロ顔。まじで半端なかったです。あー、写真撮っとけば良かったー!ナナさんに見せたら悔しがるだろうなー!」
「お前、そんなことしたら、この手でお前の人生終わらせてやるよ」
「えー、ヒカルさんには出来ないですよ。俺の部屋来た時のヒカルさん、マジで泣きそうだったしー。それに、心配なんですよね。ヒカルさんぼーっとしてるトコあるし、ナナさんだけに限らず、食われちゃわないか」
「食われるって…。相手女の子だぞ…」
「いや…なんかヒカルさんだと、相手が女の子でも食われるって表現があってますよ。それにホスト仲間も結構言ってるやつ多くて、俺喧嘩ふっかけようとしたこと何度もありますもん」
「喧嘩って…」
(意外とバイオレンス…)
「ホスト仲間でヒカルさんハメ撮ったやつなんかいないですよね?」
「…………」
「…………ヒカルさん?」
「い、いない!いないよ!」
(ケンジさんに撮られた覚えはあるんだけど…言いふらしたりする人じゃないし…)
「今度は写真撮りましょうね」
「お前、本当に変態だったんだな…」
「ひどいですよー」
馬鹿話もほどほどに、俺は気になることを聞いて見た。
「マサト…引っ越したりしないよな?」
「うーん…どうしよっかな…」
「!?」
「だって、今のアパート…えっちしたら絶対床抜けますよ?声だって多分一階の人に丸聞こえだろうし…」
「どんだけ激しいのする気だよ…」
「今日のなんか全然激しくないほうですよ?言ったでしょ?俺変態だって」
「………ほんっとうに…誰が無駄に爽やかだよ…」
(今更だけど、好きになる相手間違えたかな…)
「顔の印象って徳ですよねー。まぁ、それは置いといて、俺んち春から下の弟二人が就職なんですよ。あ、双子なんですけどね?ついでに高校生の妹が返還義務なしの奨学金がもらえることになって…。なので両親が今回から仕送りしなくてもいいよって言ってくれたんです」
「そう、なのか?良かったな。少し余裕が出来るじゃん」
「はい。なので、少し余裕が出来るんです。その分を、ヒカルさんのお父さんの入院費にあてられたらって考えてます」
「……え?」
「ヒカルさんは、すごい頑張ってきたのに、こんなことよくあることだ、とか、言って自分の頑張りとか辛いのを外に出さないじゃないですか。女の子の香水の匂い苦手なくせに香水の銘柄勉強してプレゼントしたり、お酒あんま好きじゃないくせに嫌な顔絶対しないし」
本当にびっくりした。香水が苦手なことも酒も自分からは進んで飲まないことも、誰にも言ったことなかったのに…。
そんな俺のびっくり顔を横眼に、マサトは言葉をつづけた。
「俺にはもっと、わがまま言ってください。俺面倒見はいいんです。もっとヒカルさんに甘えられたいし色んな顔見せてもらいたいんです。ヒカルさんのお父さんは自分のお父さんも同然だし、って気早いですかね?」
「マサト…」
照れたように笑った後、マサトが真剣な顔になった。
「俺、本当にヒカルさんのこと好きなんです。ヒカルさんの頑張ってることは一緒に頑張りたい。辛いことがあるなら、一緒に背負わせてください」
なんかわかんないけど、涙が出てきた。自分が辛いのを外に出していいと思ったことなんかなかった。いつも俺の周りには、俺の為に頑張ってくれている人が居たから。その人の為に恩返しをすることに、辛いなんて感じちゃダメだって思ってた。一緒に頑張ってくれる人なんか、求めちゃダメだって、ずっと思ってた。
涙ぼろぼろ流してる俺を優しく抱きしめてくれた。
「半端な気持ちなんかじゃなく、ヒカルさんと一生生きていきたい」
「俺も…」
(お前と一生一緒にいたい)
「好きです」
「ありがとう…マサト」
たぶん、マサト以上に好きになれる人なんか、この先居ないって確信出来た。
結局マサトは引っ越した。ついでに俺も…。あの後、二人で住みましょう?とマサトに言われ、まぁ今までも二人で住んでたようなもんだし、いっかと思ってOKした。それにぶっちゃけマサトの借りた新しい部屋の家賃を割り勘したら前住んでた所より安かったから…。
広さは一人暮らし位の広さだけど、どっちにしろ共有する時間が多いからあんまり関係がない。1LDKで風呂、トイレ付。それだけで俺はなんか感動してしまった。
マサトは店を辞めることなく、今でもホストをつづけている。ちなみに最近マサトが素の自分、つまりSな自分を出し始めてから、店での人気は急上昇。もうすぐケンジさんに追いつくんじゃないかってくらい。俺も油断してられない。
マサトいわく、
「いやー、これが本当の自分なんでー、仕方ないですよね。爽やかだけの男なんてつまんないと思いますしー。まぁ、最初っから素の自分見せたら警戒されるから見せませんけど」
だそうだ…。もう、最近は爽やかなのは顔だけの腹黒人間だって認識されてる。ちなみに、付き合ってることは言ってないけど、前にケンジさんとナナちゃんにライバル発言をしていた。
「ヒカル!聞いてよ!マサト、超むかつくんだよ!自分の方がヒカルのこと知ってるーみたいなこと超アピールしてくんの!ナナの方がヒカルとの付き合い長いのにー!顔が爽やかだから余計にむかつくーー!」
この前、ナナちゃんにそんなことを愚痴られた。最近ではナナちゃんは俺に会いに来てるというよりマサトに喧嘩売りに来てるって感じになってる。なんか複雑…。俺を指名して、絶対にマサトをヘルプにつける。
一年が経っても俺らの関係は変わらない。マサトは大学の学費も奨学金を取って、生活費と少しの小遣い以外のお金を全て俺に渡してくれる。仕事のこととか些細なことで喧嘩する時もあるけど、寝るときまでには絶対仲直りして一緒に寝る。親父はまだ変化はないけど、毎週日曜は一緒に病院に行き、少しでも変化があるように語りかけている。
最近は俺よりマサトの方が「お父さん、聞いてください」とか、たくさんのことを報告しまくっていて、どっちの親だよ、とかちょっと笑える。
まぁ、夜の営みの方は…本当に宣言通りの変態っぷりで、一年経った未だに慣れないこともたくさんあるけど…。泣
でも結局は最後にいつもの笑顔で誤魔化されてしまう。
ずっと続いてほしい、続いてくれるだろうかって不安もあるけど…今はこの幸せを大事にしたいと思ってる。