4人の中で、リョウはユウトと特に仲がいい感じに見えた。というか、ユウトがリョウに積極的にくっついてる感じだった。
少しヤンキーぽい雰囲気があるユウトは、俺らの中では一番のヤリ◯ンだったが、リョウとつるみ出してからは、女とヤッたという話題が不思議と少なくなっているような気がした。
その2人に、いつしかソウマも加わって遊ぶようになっているようだった。週末に3人でどこかに行っていたという話が、会話の中にたびたび出るようになっていたのだ。
サッカー部だった俺と、バスケ部のユウトとソウマとは、練習や試合のせいで休日の予定が合わないことはよくあった。
でも、何となく自分だけハブられているようで、あまり気分はよくなかった。
とはいえ2人に悪意があるような感じはなかったし、こんなことで不機嫌になっても意味はないと思って、とくに気にはしないようにしていた。
ある日、たまたま帰り道で俺とリョウの2人きりになることがあった。
「最近、ユウトたちと遊ぶことが多いみたいやん」
俺は何気なくそう聞いてみた。
「うん、、そう、だね」
リョウの返事には、どことなく言葉を濁すような感じがあった。
「前は、あいつらめっちゃ女と遊んでたんだけどさ。リョウとつるむ時は何してんの」
「普通だよ。買い物行ったり、カラオケ行ったり」
「ふーん」
「ユウトの部屋に行くこともあるかな」
「ああ、あいつんち親が仕事で他県にいるから、実質一人暮らしなんだよな。だから女連れ込む時によく使ってた」
「俺は、コウキにも加わってほしいんだけど」
「加わるって?」
「あー、、まあ、できたらって話」
「どういう意味?」
「いや、やっぱ気にしないで」
リョウはそのまま話題をそらしてしまった。
リョウの言葉に、何か俺に言えない秘密があるのがわかった。その時になって、俺はユウト達に対して嫉妬に近い気持ちを抱いているのを自覚した。
ただ、何に対しての嫉妬なのか考える気にはならなくて、あえて忘れることにした。
その年の秋に、東京へ修学旅行に行くことになった。
自由時間の時に、もともとこっちに住んでいたリョウの案内で、俺たちは久々に4人一緒になって渋谷や原宿を歩き回った。
こちらの女子高生かなと思われるグループにちらちら見られたり振り返られたりしていたので、誰も口には出さなかったけど、自分たちのルックスは東京でも通用するんだなと、ちょっといい気分にもなっていた。
ホテルは3人部屋だったので、ユウト・ソウマ・リョウが同部屋、俺だけ別部屋になってしまっていた。部屋割りはなぜか同じ部活中心に決められたので、こういう形になったのだった。
俺は場所が変わると眠れなくなってしまう方で、その夜もなかなか寝付けずにいた。
時刻が0時をとうに回った頃、突然ソウマから俺にラインが来た
『起きてる?』
『起きてるよ』
『今から俺らの部屋来れない?』
『いいけど、何?』
『来ればわかるよ リョウも来てほしいって』
時間も時間だしダルい気がしたが、好奇心に駆られて、俺はベッドから起き上がった。同じ部屋のメンバーは、もう寝息を立てていた。
ユウトたちの部屋は、ホテルの構造のせいで一室だけ別棟になっていた。すでに見張りの先生も廊下にはいなかったので、部屋に行くのに見つかる危険はなかった。
【続く】