前回は超長編ですみませんでした^^;
今回は適度に。
今回と次回、一切エロ要素ナシになりますが、今後の回につなぐ為です。
ご理解ください。
続き・・・
霧斗「俺・・・フラれたんだ・・・。」
俺が浜松から戻った夜、傷心の親友は、俺に見せた事の無い位に落ち込んでる。
いつもの眩しい笑顔は既に無く、生気溢れていたはずの力強い眼はその影を潜め、辛さと悲しさに支配されてた。
霧斗「バイト終りにな、突然話があるってメール来たんだ。そんで会ってみたら・・・別れたい・・・ってさ。」
俺「そんな・・・急に・・・?」
霧斗の虚ろな眼は、床の一点を見つめたまま動かない。
あんなにユキちゃんの事を大切にしてた霧斗が、何でフラれるんだ・・・!
俺「ワケとか・・・何か言ってた?」
霧斗「・・・。」
何も答えない。
俺「きいちゃん・・・?」
霧斗「ゴメン・・・言えない・・・。」
俺「・・・そ・・・っか・・・。」
霧斗「ゴメン・・・。」
ちょっとショックだった。俺に言えない事があるなんて今まで無かったから・・・。
呆然とベッドに腰掛ける20歳の男2人。TVの中でゲストの女優さんを笑かす紳助さんの声だけしか聞こえない部屋、呆然とベッドに腰掛ける20歳の男2人。
悲しすぎる横顔。肩を落として、背中を丸めて、一言も言葉を発さない。ただ、床の一点を凝視してる。
―きいちゃん・・・何か話してよ・・・俺・・・お前のそんな姿・・・見てらんないよ・・・
もう耐えられなかった俺は思わず霧斗を抱き寄せた。
突然の事に驚く霧斗を優しくハグする。
霧斗「ゆう・・・?」
俺「何にも言うな・・・。」
言葉なんていらない、とかよくドラマで聞くセリフ、この時が正にそういう時だった。
少し間を置いてから、霧斗もハグし返して来た。
酔ってふざけてハグしたりはあったけど、こんなに長く、こんなにギュッとハグする事なんて初めてだった。
言葉が見つからないなら、肌で慰めるんだ。
そんな事しか、その時の俺には出来ないから。
霧斗「ありがとう・・・。」
耳元で優しく囁く親友を、俺は黙って腕の中で受け入れる。
―きいちゃん、俺、ずっときいちゃんの味方でいてーから。
5分位ずっとハグした後、俺は手をほどいて、霧斗の顔を軽く覗く。
その親友の表情は、さっきより柔らかかった。
俺「少し楽になったろ?」
霧斗「うん。」
いつもみたいにこぼれる笑顔じゃないけど、優しい笑みを浮かべてた。
霧斗「なんつーか・・・ホッとしたよ。」
俺「そっか。良かったじゃん^^」
霧斗「マジありがとな。」
やっぱ照れくさかったけど、俺はその言葉が何よりも嬉しかったんだ。
きいちゃんの役に立てたから。その時は、もうそれだけで十分だった。
霧斗「お前んち来て正解だったよ。メチャ癒された^〜^」
俺「何言ってんだよ。何のための親友だって^^y」
霧斗「そうだな。」
柔らかい笑顔。いつもの優しいきいちゃんだ。
ホントは、俺がホッとしてんだよ、きいちゃん。
きいちゃんに少しでも笑顔が戻ってきたなら、それで良いんだ。
俺「つか今日どーする?泊まってく?」
霧斗「ん〜・・・いや、今日は帰るわ。明日俺1時限目からだし。」
俺「一人でダイジョブか?」
霧斗「何言ってんだよ^^ ゆうのおかげでだいぶ良くなったから。」
俺「そっか。何か照れくせーな。*^_^*」
2人で笑った。その日初めての霧斗の笑い声。
時計を見たらもう10時半だったから、霧斗を玄関で見送った。
霧斗「じゃあ、また明日。俺2限終わりでヒマだから。」
俺「んなら昼飯、いつもの学食でな!メールする。」
霧斗「OK〜。じゃ、おやすみ!」
俺「おやすみ^^」
俺は笑顔で霧斗を見送った。
ベッドの上に座って、何かTVを見ようと思ったら、霧斗、うなぎパイ忘れてるし・・・。
その時メールが来た。
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今日はホントありがとな!
持つべきは親友だぜい〜^0^
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今回は正真正銘のきいちゃんメールだった。
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何かあったらいつでも言えよ^^/
つかきいちゃん、うなぎパイ忘れてる(苦笑)
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ぬあんだって〜?!(笑)
わりい、すっかり忘れてた〜^^;
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ったく(ー_ーメ)(笑)
明日持ってってやるからb
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助かる〜〜!
もうお前大好き!(爆)
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何言ってんだよ(笑)
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俺も大好きだよ・・・きいちゃん。
***
その日から1週間位経ったある日。
霧斗は風邪で休んでたから、他の友達と学食で昼飯食ってたんだ。
ふと周りを見た時だったんだ。
目が合った・・・。
霧斗をフッた元彼女・ユキちゃん。
霧斗繋がりで何度も会ってる。その度に俺にも明るく接してくれてたユキちゃんが、今日は確実に目が合ったのに気付かないフリ。
俺「ちょっとゴメン、すぐ戻るわ。」
友人「ん?ああ、OKOK。」
俺は席を立って、ユキちゃんに近づく。
余計なお世話とわかりつつ、あの日から気になってた事があった。
霧斗が初めて話すのを拒んだ、ユキちゃんが霧斗をフッた理由。
俺「久し振り。」
ユキ「あ、ゆう君。久しぶりだね〜。」
ユキちゃんは明らかに演技してる。絶対ユキちゃんも気づいてるはずだ。俺が何を聞かんとしてるか。
俺「あのさ・・・ちょっと2人で話せないかな?」
ユキ「え・・・。」
俺「すぐ終わるから。ダメかな・・・?」
ユキちゃんは黙りこくってしまった。それでも俺は今更引き下がれない。
すると、開口一番、ユキちゃんは信じられない言葉を発したんだ。
ユキ「ゆう君のせいなんだよ・・・!」
俺「・・・え・・・?」
続きます。