続き
最初は全く話さなかった。
それでも彰は飯を作ってくれたり洗濯してくれた。
ある日。
バイト先の上司に気に入られて初めて夜の街に行った。
日付が変わる頃、俺はなぜか彰のことを思い出し、上司に謝って帰らせてもらうことにした。
帰らせてもらうことになったのだが、初めて来た場所に夜中に一人でいるのは怖かった。
てか、道が全く分からなかった。
途中知らない人に何回か話しかけられて泣きそうになった。
仕方がないから彰に電話した。
彰はすぐに電話に出てくれて、場所を行ったらすぐに迎えに来てくれた。
彰が運転する車の中で、俺は寝てしまっていた。
起きた時にはちゃんと布団にいた。
彰はすでに会社に行っていていなかった。
食卓には朝食が用意されて、着替えも出してあった。
まるで女と生活してるみたいだ。
生活したことないってか、付き合ったこともないから分かんないけど。
「ただいま」
バイトから帰ると、彰がTシャツにトランクスと、まるで親父みたいな格好をして、テレビを観ていた。
「おかえり」
「昨日はありがと」
「?」
彰が振り返った気がしたが、無視して洗面所に行った。
服を脱いで、熱を冷ます。
なに顔赤くしてんだよ。
鏡を見て思った。
すでに沸いていた風呂を手っ取り早く済ませた。
服を着ようとして、失敗に気づいた。
着替えを忘れた。
しょうがない。
俺は全裸のまま出た。
「着替え忘れたんだろ?」
「わかってたなら置いとけよ」
「子供は甘やかすとイイ子に育たないからな」
「だれが子供だよ」
俺は後ろから抱きつくようにして彰を倒そうとしたが、逆に彰に倒されてしまった。
全裸のまま組み敷かれる俺。
じっくりと舐めるように俺の体を見る彰。
「こんな細い体で俺に勝てると思ってんの?」
昔から筋肉質じゃなかったし、経済事情で飯なんて沢山食えなかったし、身長低いし。
それに比べて、彰は腹筋割れてるし身長高い。
「ほら、起きて。飯にしよ」
俺の上から退ける彰。
俺はすぐに服を着て食卓についた。
続きます。